資産運用 高金利国の通貨建て債券購入の際の注意点 - お金と資産の運用全般 - 専門家プロファイル

吉野 充巨
オフィスマイエフ・ピー 代表
東京都
ファイナンシャルプランナー

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閲覧数順 2024年12月03日更新

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資産運用 高金利国の通貨建て債券購入の際の注意点

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現在各証券会社、銀行からで高金利をうたった債券が販売されていますが、為替の変化が無い場合でも、「思っている」よりも利益が上がらないケースがあります。それは何故?

例えば、国際金融公社(IFC)の債券は複数の新興国通貨建ての債券があります。
一例を挙げると、クーポンが税引き前で9.94%、10.00%で販売されています。また償還までの日数も2年や3年と短いため、現在の為替レベルが継続するかも知れないものと思われる債券となっています。
では、これらを購入した際の実際の利回りを考えて見ましょう。

クーポン9.94%、2年後の償還のもので試算します。一見、為替変動が無ければ、2年で20%近くの利息が儲かるように見えます。
利子には
20%の税金が掛かりますが、それでも税引き後で約16%の利益が上がるものと錯覚するのではないで
しょうか。
残念ながら、そのようには参りません。購入するには当該国の通貨での申し込みになります、この証券会社の案内では、当該債券の買付単位は10,000R(仮に通貨表示をRと致します)と表示されています。
当該通貨為替レートは5月25日現在で11.3882円、為替スプレッドは±30銭と表示されています。
計算がしやすいように、為替レートを11.40円とおいた場合、最小購入単位での買付には、
(11.40円+0.3円)×10,000R=117,000円これが投資金額です。

初年度には利子が10,000R×9.94%=994R付きます。これを円に換えると、
994R×(11.4円―0.3円)×0.8(税金)=8,827円を得ます。
翌年の利子も同じく8,827円を得ます。
そして、償還に当って、円に戻さなければなりません。
この場合には10,000R×(11.40円―0.3円)=111,000円が戻ります。

これらを通算した、投資に対する年間の利回りは、
(111,000円+8,827円+8,827円―117,000円)÷2年÷117,000円×100≒約5%
です。

当初、頭によぎった利回りの約半分です。
今回試算した例では、ネット証券で且つFXも行っている会社の為替スプレッドを利用しましたが、この会社のスプレッドは大手証券会社の約半分です(この証券会社の米ドルのスプレッドは±25銭)。
それでも、これだけの違いが出ます。如何に為替スプレッドが我々一般投資家に不利に働くかがわかります。

前述のように、為替レートの変動が無い場合でも、表示した利回りは得られないことがわかりました。

次に金利差による為替レートについて考えて見ましょう。為替は円安になるのか?
高金利債券の金利と債券の額面(償還時の金額)は、その国の通貨での表示です。購入の際にも、換金
の際にも円への換金が必要です。
従いまして、償還時に円高の場合は、円での受取額は投資額より少なく、円安になった場合は円での受け取り額が増えます。

文責
ファイナンシャル・プランナー
独立系顧問料制ファイナンシャル・アドバイザー 吉 野 充 巨

『このコラムは、投資判断の参考となります情報の提供を目的としたものであり、有価証券の取引その他の取引の勧誘を目的としたものではありません。投資による損益はすべて読者ご自身に帰属いたします。投資にあたりましては正規の目論見書、説明書等をご覧いただいたうえで、読者ご自身での最終的なご判断をお願いいたします。
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