経営改善計画を達成できていないがCFが確保されている場合は? - 財務・資金調達全般 - 専門家プロファイル

近江 清秀
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経営改善計画を達成できていないがCFが確保されている場合は?

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【銀行交渉のポイント編-13  】

 信用金庫や地銀は、中小企業へ融資するかどうかの判断を行うに
当たって金融庁の検査マニュアルに従って判断を行います。

その検査マニュアルには、具体的な事例とともに銀行
(信用金庫・地銀)が融資するかどうかを判断したポイントと、
その判断基準の適否について解説が記載されています。
この【銀行交渉のポイント編では】27パターンの事例を紹介します。

 中小企業の経営者の皆様におかれましては、
御社の決算内容、銀行との交渉と比べながら読んでいただくと
わかりやすいと思います。

 以下の事例集は、すべて銀行(信用金庫・地銀)の立場から
書かれた内容なのでこの文中で債務者と表現されているのは、
一般の中小企業のことです。

【事例-13 経営改善計画を下回っているが、十分なキャッシュフローが確保
されている場合、銀行の評価は? 】

【概況】
 債務者は、当金庫メイン先(シェア 98%、与信額:平成15年 3月
決算期 230百万円)市内に1店舗を有する飲食店(仕出弁当を含む)
である。
 
【業況】
 店舗が旧国道に面していることに加え、駐車場が手狭なこともあり、
近年売上が減少し連続して赤字を計上し、債務超過状況に陥っている
状況にある。 当金庫は、改装資金等に応需しているが、前々期に、
業績の悪化から約定返済が困難となったとして、債務者から貸出金に
ついて返済条件の緩和(3年間の元本返済猶予)の申し出を受けた。

 これに対し、当金庫は今後の収支計画の策定及び提出を求め、
代表者は不採算部門である飲食業からの撤退と仕出弁当への特化による
黒字化を折り込んだ収支計画を策定、提出した。 しかしながら、前々期は、
売上は当初計画の1/2、また、利益についても黒字化することができず、
少額の赤字の状況にあった。

 前期には、金融機関と債務者が売上の未達成原因を分析し、営業力の
不足によるものであるとの判断により、懸命なPR活動と営業に力を入れた
結果、売上・利益ともに、計画比で7割程度の達成状況となっている。
 
 債務者は、今期に入っても積極的な営業展開を進めており、売上・利益
ともに増加が見込めるとし、来年度からは、更なる返済期間の延長が
必要なものの、約定返済も再開したいとしている。
 
【自己査定】
 当金庫は、前々期に作成した収支計画は前期まで達成できておらず、
更なる返済期限の延長が必要なものの、前期から経営改善が進んでおり、
今後の経営改善も見込まれ、約定返済も再開することから、要注意先
(その他要注意先)としている。
 
【検証ポイント】 
 経営改善計画を下回っているものの十分なキャッシュフローが確保
されている場合、または、その見込みが確実な場合等について 
 
【解説】 
1.例えば、売上減少などにより大幅な債務超過が継続している債務者が、
経営改善計画等を作成していても、その後の経営改善計画の進捗状況が
計画どおり進んでいない場合には、経営破綻に陥る可能性が高いとして、
破綻懸念先に相当する場合が多いと考えられる。 

しかしながら、経営改善計画等の進捗状況の検証を実施するに当たっては、
計画の達成率のみをもって判断するのではなく、計画を下回った要因に
ついて分析するとともに、今後の経営改善の見通し等を検討する必要がある。

2.本事例の場合、金融機関が当該条件緩和を実施する際に、債務者の今後の
収支見込み等を基に返済能力を検討した事業計画等に沿った形で業況が
推移していない。しかしながら、前期より売上低迷原因の分析を実施し、
即時に改善のための対応を行い、大幅な赤字体質からの脱却が図られている
状況にある。

 今後も仕出弁当部門について、現状程度で推移すると見込まれ、十分な
キャッシュフローが確保され借入金の約定返済に向けた動きが見込まれると
判断できるのであれば、当初の事業計画等の達成が困難であったとしても
直ちに破綻懸念先には該当せず、要注意先(その他要注意先)に相当する
可能性が高いと考えられる。 

(注)経営改善計画等の進捗状況や今後の見通しを検討する際に、
キャッシュフローの見通しをより重視することにより、要注意先
(経営改善計画は合理的かつ実現可能性が高い)と判断できる場合には、
貸出条件緩和債権には該当しない。 
 
3.なお、中小・零細企業等の事業計画は、企業の規模・人員等を勘案すると、
大企業の場合と同様な精緻な経営改善計画等を策定できない場合がある。
債務者区分の判断に当たっては、今後の業況見通しや借入金の返済能力の判断
について、事業計画の達成状況のみではなく、例えば、本事例のように、
事業計画どおり進んでいない原因を分析し、今後の債務者の収支見込等が現実的
なものかを判断する必要がある。 

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今日のポイントは、経営改善計画等を作成しているが、その後の経営改善計画
の進捗状況が計画どおり進んでいばい場合もありうる。しかしながら、前期より
売上低迷原因の分析を実施し、即時に改善のための対応を行い、大幅な赤字体質
からの脱却が図られている状況にある。

その結果十分なキャッシュフローが確保され借入金の約定返済に向けた動きが
見込まれると判断できるのであれば、破綻懸念先とは判断されないという点です。

経営改善計画は、作成するだけではなくその後のフォローが重要です。

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