- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
法律的に窓や扉ってのはこう・・ってのはもちろん大事なことです。
法律を無視した建物など絶対に建てられませんし・・
法律を知らずに設計するようなことはあってはなりません。
が、これは、あくまでも前提条件・・
ようするに・・
建築士にならないと、そこそこの建物を設計してはいけませんってのと同じ事。
ちょっと違うか?
まあいいや・・
これは、窓や扉に限らないのですが・・
建築というのは・・
こういった法律や構造や安全や機能などの・・
前提条件を満足した上で初めてデザインが作られます。
逆に言うと・・
絶対にこうしなければならない、その形を踏まえてデザインをし・・
それを利用して、それを元に、それを生かしてデザインを作ります。
そこが、絵や彫塑などの芸術とは違うところで・・
デザイナーとアーキテクトの違うところです。
ま・・
講釈はここまでに。
そう、何が言いたいかって・
ようするに・・
窓は景色を作るのです。
法律がどうであろうと・・
避難がどうだからであろうと・・
どういう理由であろうが・・
どういう必要があってだろうと・・
そこに窓が作られれば・・
そこには景色が生まれます。
どなたでも、家のリビングでくつろいでいる時にふっと窓を見ることがあると思います。
その窓の外が汚なかったら嫌ではないですか?
窓の外は美しい景色な方が良いのではないですか?
ただ、敷地の外が美しい山並みだとか公園だとか綺麗な水辺なんてのは・・
そうあることではない。
都合良く敷地の外が美しい景色なんて事は、よっぽどの山奥にでも住まないと、まずないはずです。
これを解消するのに一番簡単な手法は・・
窓の外に綺麗な庭を作ることです。
敷地の中に美しい景色を作ってあげることで、それを窓から取り込み室内にも景色が作れます。
ただ、昨今は庭に緑を植えるのをいやがる人も多いのです・・
別に美しい景色というのは緑だけではありません。
窓外のテラス自体を美しく作ってあげれば、そのテラス自体が景色になる。
坪庭を作り、そこを石庭にする。
窓向こうに塀を立て、その塀自体をデザインして景色にする。
建物を雁行して設計すれば、窓から自分の建物自体を見せることが出来ます。
玄関から向こうのリビングの向こう側とか離れとかが見える、こいつを格好良くしてやる・・
これは、桂離宮なんかの手法ですね。
建物がコの字型なら窓の向こうは全部自分の建物です。
窓ではないですが・・
部屋自体を美しい空間にする、ということは・・
それは、ようするに部屋内に景色を作っていることになります。
敷地に入り歩けばどこかを向き、どこかを見る・・
そこに景色を作りましょう。
家にはいると、どこかに入りどちらかを向く・・
そこに窓、そこに景色。
リビングのドアを開けて前を向く・・
そこに窓、そこに景色。
ソファーに座る、その目の前に広がる景色。
そんな家、良くないですか?
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