12か月で学ぶ哲学用語 ロスケリヌスの「唯名論」 ノミナリズム - 人材育成全般 - 専門家プロファイル

中沢 努
パンセ・ソバージュ・アンド・カンパニー 代表
東京都
コンサルタント・研修講師・講演講師

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12か月で学ぶ哲学用語 ロスケリヌスの「唯名論」 ノミナリズム

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哲学用語

哲学用語:唯名論(ノミナリズム)
哲学者:ロスケリヌス(1050頃 ― 1125頃)

ある人が魚を買いに魚屋へ行きました。
でもその人は魚を買うことができませんでした。
魚屋の主人が魚を売ってくれなかったからです。

お客
「大将、今日のお勧めの魚はどれだい?」

魚屋(お客をじろっと見ながら)
「そんなのあるわけないだろう。そんな下らんこと言うのなら、ほかの店へ行ってくれ」

お客(ムッとしながら)
「なぜ魚を売ってくれないんだ?」

魚屋(こちらもムッとしながら)
「うちは“魚”なんておいてないからだよ」

お客(怒鳴り声で)
「馬鹿言うな。そこに魚があるじゃあないか!」

魚屋(こちらも怒鳴り声で)
「旦那こそ馬鹿言っちゃあいけないよ。これは”魚”じゃねぇだろう」

お客(困惑して)
「えっ、この魚屋なに言ってんだ???」


これを読んだあなた。

“お客”の言っていることは正しい。
“魚屋”は間違っている・・・というか頭がちょっとどうかしている・・と思うでしょう?

でもそうとも限らないんですよ。
唯名論の立場に立てば、魚屋の大将が言っていることは必ずしも間違いとも言えないのです。

だって、よく考えてみて下さい。
魚屋においてあるのは「魚」ですか?
・・・えっ「あたりまえだろう」ですって?

もう一度聞きますが・・・。
「それは本当に“魚”ですか?」
・・・魚屋においてあるのは「いわし」や「サバ」や「鯛」という個物であって「魚」という抽象物ではないのではありませんか?

日常生活では、魚屋の大将が言っていることは「ただの屁理屈」になります。

でも、ものごとを考えるときには「ただの屁理屈」で片づけてはいけません。

なぜなら、私たちは事物としては「無い」普遍的なものを、実務上「ある」と見なし、「無い」のに「ある」として生活しているからです。

唯名論とは「普遍は事物に帰することをせず、言葉にのみに帰する」と考える立場のことを言うのです。

(中沢努「12か月で学ぶ哲学用語」から抜粋)

◆ この解説は筆者が原典や学術書を読み漁り自分なりに理解した内容を記したものであり、ビジネスパーソンを対象に書いたものです。
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