＜医学博士が解説＞ご婦人に多い口の中の病気”口腔扁平苔癬”をご存知ですか？

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1.口の中がヒリヒリ…扁平苔癬（へんぺいたいせん） って知ってます？

 「口腔扁平苔癬（こうくうへんぺいたいせん）」と聞いて、すぐに分かる方、ご存知の患者さんはあまりいらっしゃらないかもしれませんが、実は男性には少なく、４０～６０歳代の女性に多い病気です。

　私どものクリニックは歯科医院ですが、「お口の総合クリニック」として、口腔外科診療に主軸をおいております。

※写真は典型的な頬粘膜（＝頬の内側）に出来た扁平苔癬…赤くただれた部分と白いレース模様を呈する

　そのため、口の中の粘膜に生じる様々な疾患の患者さんがお見えになりますが、患者さんの約４割が歯の治療以外の患者さんで、なかなか治らない口内炎や口臭、ドライマウス（口腔乾燥）、舌痛症などとともに多いのが、この「口腔扁平苔癬」の患者さんです。

ベロ、舌先がヒリヒリ・・・舌痛症をご存知ですか？　http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-109872/

2. 口腔扁平苔癬の症状

　皮膚や口の中の粘膜にできる炎症性の病変です。きわめて治りにくく、短期間の間に良くなったり、悪くなったりを繰り返します。

　口腔では両側の頬の内側にできること多く、舌や口唇にも生じます。上記の写真の如く、粘膜が白くレース模様になり、所々粘膜が赤くただれた感じになるのが特徴です。見た目の模様は数日の間に変化する場合もあります。

　通常の口内炎とは見た目も症状もだいぶ異なります。分かりやすく例えれば皮膚にできるアトピー性皮膚炎のようなイメージでしょうか。しょっぱいものや辛い食物がしみたりします。ごくまれにがん化することもあります。

「口腔がん検診」をご存知ですか？　http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-52834/ 

 3.扁平苔癬の原因は？

　原因についてはアレルギー説、ストレスとの関連性など諸説ありますが、よく分かっていません。

　統計的には久留米市など肝炎の患者さんが多い地域によく見られるとされ、Ｃ型肝炎との関連性や歯科用金属アレルギーとの関与が有力であると考えられています。

 4.扁平苔癬の治療について

　先述のように口の中がヒリヒリするなどの症状がありますが、口内炎などと区別がつかずに放置している患者さんも多いのかもしれません。

　潜在的にはもっと多くの患者さんがおられると思いますが、口内炎と違ってなかなか治らないため、症状が悪化しないうちに口腔外科や皮膚科、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

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　治療にはうがい薬や副腎皮質ステロイド軟膏を使います。

　歯科用金属によるアレルギーが疑われる場合は、原因と思われる充填物（つめもの）や冠（かぶせもの）を除去する場合もあります。

　全身的にはビタミン製剤や抗アレルギー薬、さらに漢方薬などの投与が有効な場合もあります。

※ステロイド軟膏やビタミンで改善しない扁平苔癬には漢方薬が有効な場合も…

　先述のように原因が特定できていないため、定まった治療法や特効薬はありません。

　数種類の内服薬やステロイド軟膏、口内炎用のうがい薬、数種類の漢方薬には健康保険の適応があります。経験的に申し上げれば、治療していればひどく悪化することはあまりないように思いますが、良くなっても再発したり繰り返すことも珍しくありません。

 ※※歯科医師、歯科衛生士の方々へ※※
ご自分が担当されている患者さんで口腔粘膜疾患や口腔がんを疑う症状、所見があるものの、
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