
- 海田 修平
- カイダ建築設計事務所 一級建築士事務所
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
家には中心が必要です。
ただ必要な部屋が並べられたものが結果的に家になるのでありません。
家に中心がなければ、家族それぞれの居場所があるだけの単なる無味乾燥な箱になってしまいます。
家の中心とは、その家に住む家族が拠り所とする場所です。
もちろん家族の拠り所は時代とともに変化してきました。
かつては囲炉裏であったり、応接間であったりしましたが、現代における家の中心は、ダイニングとすべきです。
ある人は、家の中心は高級なソファーと液晶テレビが置かれたリビングだと主張するかもしれません。
戦後に広まった応接間にはソファーと洋酒とシャンデリアがありましたが、
リビングは物に価値を置く応接間の生き残りです。
リビング中心の家は、家族の意識がお互いに向き合わないあまりにも寒々しい家のように思えます。
家族みんなが集まって、ちゃぶ台でごはんを食べながら野球中継を見ていた時代はとっくに終わっているのです。
ダイニングを中心に家を考えると、家での中心的な活動は食事になります。
食事は人間の根源的な活動の一つです。
家族それぞれに忙しい世の中なので、家で食事をする回数は一日一回かもしれませんが、それでも構いません。
朝食はみんなで食べるとか、週末はみんなで夕食を共にするだけで十分です。
家族みんながテーブルに付いて、顔を合わせることが大切なのです。
そこに必ず家族の会話が生まれるからです。
美味しいとか、まずいとか、今日はどんな一日だったのか、週末はどこへ行こうか、
食事をしながら会話をすることで、それぞれが家族であることを認識するのです。
同じ釜の飯を食うことが重要なのです。
家の中心をダイニングと考え魅力的な空間とすることで、
家族が自然とダイニングに集まるようになり、滞在時間も長くなります。
子供達が勉強する場所にもなるでしょう。ダイニングがコミュニケーションを育む場所となるのです。
ダイニングを家の中心とすることは、家族のコミュニケーションを家の中心とすることです。
家族みんながワイワイ楽しく食事をする場所はそれだけでも豊かで魅力的な空間となります。
魅力的なダイニングが素敵な家=家族をつくりだすのです。
このコラムに類似したコラム
小さな家(狭小住宅、改め) 加藤 幸彦 - 建築家(2012/02/24 12:28)
作ったものが一直線の動線で出せる横に繋がるキッチン 遠藤 浩 - 建築家(2011/07/22 23:00)
チームの思考~可能な限り具現化する。 山道 勉 - 建築家(2011/06/20 00:38)
吹抜けのあるダイニングルーム 山崎 壮一 - 建築家(2011/02/15 15:22)
ダイニングの収納家具 山崎 壮一 - 建築家(2010/11/20 21:09)