- 中沢 努
- パンセ・ソバージュ・アンド・カンパニー 代表
- 東京都
- コンサルタント・研修講師・講演講師
対象:人材育成
ある会社に2人の中年男がいた。
Aは生真面目でどちらかというとドンくさいタイプ。身なりも身のこなしも垢ぬけない。ちなみに独身。
一方のBはおしゃれで理論派。論客タイプで女性社員からも頼りにされている。そして妻子持ち。
ある日のこと。職場のみんなで飲みに行くことになった。
華のあるBは若手の男性社員や女性社員に囲まれワイワイやっていた。
地味なAは同じく地味な男性社員と世間話をしながらBたちの盛り上がりをぼんやり眺めていた。
しばらくすると、ワイワイする方からBの声が聞こえてきた。
「女性を口説くときは正々堂々が一番。友達に告白を頼む?代理を立てるなんてダメ男のやることだ」
お酒の勢いも手伝い、どうやら恋愛談議で盛り上がっているようだった。
Aは自分のことを言われたような気がし「ドキッ」とした。
Aには思いを寄せる人がいたが、自分の年齢のこともありなかなか言い出せないでいたからだ。
半年後。
AとBはコンサルタントと真剣な顔で話し合いをしていた。
2人は全社横断で行われている収益改善プロジェクトのメンバーだった。
来週は2人が所属する分科会の報告会が予定されており、2人が社長にプレゼンテーションを行うことになっていた。
B
「新規事業が足を引っ張っているから撤退を検討すべし、という結論には納得だが、新規事業は社長が言い出した案件だ。当の本人を前に言えないよ」
コンサルタント
「データやその他の資料は私が揃えます。説明の補足もします。全面的に支援しますから」
B
「やっぱり○○さん(コンサルタントの名前)の方がいいよ。場慣れしているしさ。その方がうまくいくよ」
A
「自分たちの会社のことだ。外部の人に頼らず、俺たちがきちんと言おう」
コンサルタント
「そうです、身内に言われた方が効くんです。正々堂々とやりましょう。話しが変な方にいくようであれば私が替わりますから」
B
「やっぱり無理だよ。もっとトーンを落とすか、○○さんにやってもらうかにしようよ」
コンサルタントは腕を組み、目を閉じた。
沈黙が部屋を支配した。
Aが言った。
「わかった、俺がひとりでやるよ。代理人を立てるというのも男らしくない…。○○さん、最悪の場合はお願いしますよ」
翌週の報告会。
身なりも身のこなしの垢ぬけないAは、ひとりで社長にプレゼンテーションをした。
コンサルタントの力を借りず、最後までひとりでやりきった。
(中沢努「思考のための習作」から抜粋)
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