家族の成長と住宅の関係 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

安田 和人
和建築設計室 代表
建築家

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対象:住宅設計・構造

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家族の成長と住宅の関係

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私が思う家とは「成長していく」ことをまず考えます。

成長といっても、勝手に大きくなったり増築するという意味

ではありません。

そこに住む人が成長していくように家も成長していくものです。

人が年老いていくように、家も年老いていくものです。

昨今の住宅材料は「如何にメンテナンスを少なくするか?」に

重点を置きすぎて、住まう人が「年老いている家の状況」について

判断しにくくなっているように思います。

家族構成も年数を追うごとに代わっていきます。

子供さんも最初は小さくおぼつかない足取りでよちよちと歩き

されど小さいうちはまさに「スポンジ」のようにいろんなものに

興味を持ち、吸収していきます。保護者の皆さんは「けがをしないように」と

リビングなどには物を置きたくなく、できるだけ段差もなくしたいと

思います。

 

やがて子供さんは独立心が旺盛になり、自分の城を持ちたくなります。

思春期ともなると、たまには親とケンカして「顔も見たくない」と

言うときもあるでしょう。親は厳しいことを言いつつも心配で、いつでも

子供さんの気配を感じていたいはずです。

 

やがて、子供さんは結婚時期を迎え、たまの休みに孫を連れて帰ってきます。

夫婦はこれまでの人生を振り返りながら、ゆったりと時の流れを楽しむ。

こういった長いサイクルをほとんどの方は「一つの家」で過ごして

行くのです。

長くはなりましたが、家つくりの最初の段階でこういった人生の流れを

想像して、子供部屋やリビングなどをその時々で可変させることは

そんなに難しいことではありません。いかに創造できるかです。

大きな部屋でも、その真ん中に家具を配置するだけで「二つの部屋」に

なります。工事も必要ありません

「成長」の話に戻りますが、成長と隣合わせなのが「衰退」です。

どんなものでも朽ちていくものです。

私の設計では、手間がかかる部分をできる限りつくるようにしています。

その部分が一種の時限装置となり、住まう人に「メンテナンス」の

時期を気づかせてくれると信じるからです。

気付いた段階で手遅れになってしまうより、早めに「そろそろ色でも

 塗らなきゃ」と思えるちょっとした遊びの部分。

面倒なことは誰でも嫌いますが、そういった部分を「遊び」の

部分として楽しめれば・・・と思います。

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