
- 羽柴 駿
- 番町法律事務所
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
事故のあった翌年1月から公判が始まり、Hさん、A君などの証人尋問が行われました。Hさんは、先の供述が間違っていたと警察あるいは検察から咎められたようで、「初め私は、青信号になる前に目の前を通ったダンプではなく、次のダンプが事故を起こしたと思い、そのように警察に話した。後でそうではなかったかもしれないということになったが、どうして私が責められなければならないのか」と、出廷に対して拒絶反応を示していましたが、結局証言をしてくれました。また他の目撃者も、Hさんの最初に見たダンプカーがF運転手のものだったのではないかという私の考えに沿う証言をしてくれました。
このようにF運転手に有利と思われる証言がある一方で、私は担当裁判官の態度が気になりました。
例えば、私が取調べ警察官に対して、F運転手の取調べの状況について詳細に追及する尋問をしている途中で、「そんなことを言ったら証人が怒っちゃいますよ」と止められたことがありました。しかし、自白の信用性について問題があるときに、弁護人がそれを厳しく問いただすのは当たり前のことです。自白を強要したと素直に認める警察官などいるはずない以上、追及は当然厳しいものとなるでしょう。私はこのような裁判官の態度に大いに不満でした。
他にも問題は多くありましたが、私が最も裁判官の公正に疑問を抱いたのは、A君の証人尋問においてでした。
(次回に続く)