- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
「大きな木の下の家」は、やっと金属屋根が葺き上がったので、雨が降っても何とか現場は進行する。
屋根が終わると、外壁の下地面材が張られる。
最近は面剛性を保たせるために「構造用合板」を用いることが普通になって来たが、これで外張り断熱とするならまだ許せるが、これで充填断熱とすると、部屋内側の防湿シートをきちんと張らなければ、内部結露の原因となってしまう。
しかし、この防湿シートがなかなかきちんと張れないのが温暖地の大工さんである。
こうなると、<耐震性>を高めるために用いている「構造用合板」が、<耐久性>を弱めることになってしまう。
今の木造住宅の最も一般的な状況がこれである。
「大きな木の下の家」では、「アセダスD」と「ケナボードS」という2種類の面材が用いられている。
「大地に還る家」プロジェクトではこれを「透湿気密面材」と呼んでいるが、勿論、構造用面材でもある。
「大地に還る家」プロジェクトは、高気密・高断熱後の断熱法として「透湿断熱工法」を提唱しているので、非常に透湿性の高い面材が必要となる。
これらの面材とセルロースファイバーで、内部結露を起こす事無く、室内で発生した水蒸気を外壁通気層に透過してしまう断熱が可能となる。
(写真1)出済みコーナーの左側に張られた面材がケナボードS、右側がアセダスD。
(写真2)アセダスDを張っているところ。
ちなみに、アセダスDは、杉皮や未利用材をチップにして固めたもの。
ケナボードは、ケナフの繊維を固めたもので最近開発された優れもの。
その価値が分からない人にはなかなか使えない代物かもしれない。