
- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
ソーラーハウスとは文字通り自然の恵みである太陽の熱を住宅の中に巧く活用しようというもので、分類すると「アクティブ(積極的な)」と「パッシブ(受動的な)」に大別されます。
アクティブソーラーとしては例えば太陽熱で直接水を温め、それを暖房や給湯に使うもので、パッシブソーラーは太陽熱や風を開口部から取り入れ、床や壁に蓄熱して暖房に使うというものです。
しかし最近では様々な方法が試みられるようになり、ソーラー発電という新しい技術も開発され、その区分も曖昧になってきているような気がします。
歴史をたどって見れば、一九七三年にフロリダ大学のA・ バウエン教授によって提唱された「パッシブシステム」にソーラーハウスの原点を見ることができます。
時代は丁度第一次オイルショックの頃であり、「どんなに大容量のエアコンを使ったところで太陽のエネルギーにかなうわけがない。石油を使って暑さや寒さを力まかせに抑え込むのは自然と喧嘩するようなものだ。必要なのは太陽や風や木陰がもつ心地よさを活用できる建物の仕組みなのだ。」という彼の主張は、世界中の研究者、建築家に大きな影響を与えました。
しかし、こうした思想はどちらかと言えば日本人がずっとその歴史の中で持ち続けていた自然観そのものであり、自然の一部としての「建築」観なのです。そして丁度同じ頃、東京芸大の奥村昭雄教授によって研究されていたのが、今やパッシブソーラーの代表格とも言えるOMソーラーでした。