住宅断熱基礎講座/ソーラーサーキットとは? - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

野平 史彦
株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
千葉県
建築家

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対象:住宅設計・構造

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住宅断熱基礎講座/ソーラーサーキットとは?

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住宅断熱基礎講座 04.高気密・高断熱は様々な工法へと向かう
04-5:ソーラーサーキットとは?

 さて、どこで取り上げるべきか迷ったのですが、ここでソーラーサーキット(鐘淵化学工業)を取り上げたいと思います。

 この工法もエアサイクル同様、外断熱工法に壁体内空洞を利用した工法で、開閉する床下換気口と小屋裏換気口があり、冬は閉じられて通気層(アウターサーキット)を持ったシンプルな外断熱仕様となります。

 夏は開けられてエアサイクルと同様に床下換気口から取り入れた外気を床下で冷却し、壁体内空洞(インナーサーキット)を通して小屋裏換気口から排出します。

 しかし、エアサイクルのように循環させる方法は取らず、そのために下降気流を抑える逆止弁等の設置も必要としないシンプルな構成で涼房も可能にしている、言ってみれば高気密・高断熱とエアサイクルの両方のいいところを素直に取り入れた巧いシステムと言えます。

 また、これと同様な考え方を持ったシステムにSO-30工法(建友倶楽部)があり、いずれも断熱材には硬質発泡ポリスチレンが用いられています。

 ただ、エアサイクルやソーラーサーキットに共通して言えることは、断熱はどちらかと言えば冬の仕様であり、夏場は断熱材による遮熱効果よりは床下から外気を取り入れることで涼房を図っており、壁体内結露が起きないように工夫されているとは言え、すでに「冬型」の体裁をしている家にわざわざ湿気の多い夏期の外気を軸組内に導入することがはたして良いのか、という基本的な疑問があります。

 この疑問に対してシステムソーラーハウス(システムエンジニアリング)は、PACのようにあくまでも自然の力を使う、といったこだわりは捨てて、機械が得意な事は機械でやろうと割り切って、天井裏に設置されたソーラーファンによって強制的に循環させるシステムで、温度センサーと湿度センサーを使って一連の動きを自動制御するといったハイテク化を図っています。