- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
そこでまだ別の可能性が残されている気がしていたので、
E案を作成した。
このE案は、西側斜面に食い込むかたちで配置する案である。
機能的な要請には、D案よりも奇麗に応えている案にはなったが、
如何せん、ちっとも面白みがない!
施主の気持ちも、もうすでにD案の、
「今まで見た事がない面白さ」に固まって来ている様だった。
施主は多くの場合、自分の住宅を想像する時には
必ずどこかで見た「スクラップ的なイメージ」を持っている。
しかも、そのスクラップにはHMが満載されている。
悪いけど、そんな貧困なイメージしか持ち得ない。
設計事務所との付き合いをはじめた施主は、
そこではじめて今まで誰にも知らされた事のない世界を知る事になる。
カタログの中に自らを埋没させることしか知らなかった人達が、
家を建てる事の本当の楽しみを知る事になる。
設計事務所とは、せめてそのくらいの存在でなければいけないよね!?