中国における模造品と特許権に基づく権利行使(第5回) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
河野特許事務所 弁理士
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中国における模造品と特許権に基づく権利行使(第5回)

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中国における模造品と特許権に基づく権利行使 
〜改正専利法を踏まえた中国模造品対策シミュレーション〜(第5回) 
河野特許事務所 2009年7月21日 執筆者:弁理士 河野英仁


3.模造品発見時の対応
(1)情報収集
 模造品を発見した場合,まずは,対応する外観設計に係る特許権が存在するか否かを分析する。完全な模倣であり侵害の可能性が高いと判断した場合,次いで簡易な調査を行うべきである。製造者及び販売業者の大まかな特定及び価格等の調査を市場,見本市またはWeb サイト等により調査する。また調査結果は後に裁判所に提出する証拠として保存しておく。例えばWeb ページ,カタログ及び販売現場を撮影した写真の保存等である。
(2)権利の有効性確認
 外観設計に基づく特許権は無審査で付与されるため,権利の有効性が問題となる。改正専利法においては,外観設計についても,日本の実用新案技術評価書制度に類似する特許権評価報告制度が導入される(改正専利法第61 条第2 項(2))。特許権評価報告制度は裁判所が,権利者または利害関係人に国務院特許行政部門が作成した特許権評価報告の提出を要求でき,訴訟の証拠として利用することができるものである。
 現行専利法第57 条第2 項では実用新型について検査報告制度が存在し,司法解釈第8 条第1 項(3)ではその検査報告の裁判所への提出が義務づけられている。従って,改正後においても外観設計に基づく特許権侵害訴訟を提起する場合は,特許権評価報告を証拠として提出する必要があるものと解される。
 ここで,外観設計に係る特許権が有効との判断を得た場合,訴訟に向けた準備に移行する。
(3)調査会社による侵害実態調査
 模造品の製造者,製造・販売数量,製造・販売時期,販売ルート及び販売価格等を調査すべく調査会社に依頼する。危険を伴う虞もあるので必ず現地の専門の調査会社に依頼すべきである。
 調査会社による調査によっても完全な情報を得ることはできないが,およそのことは特定することができる。調査結果は被告の特定,被告の侵害行為の認定,及び,損害賠償額の認定等に利用する。

(第6回に続く)

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