最近の研究では、糖尿病マウスの視床下部という場所にあるプロオピオメラノコルチン・ニューロン(pro-opiomelanocortin neuron)にレプチンの受容体を加えたところ、血糖値が正常にまで低下しするとともに、このマウスは以前は1日中寝ていたのが、より活動的にもなったというものがあります。
これは、レプチンが食欲や代謝だけでなく、活動する意欲などにも関係している可能性を示唆するものと考えられます。レプチン自体は、体脂肪を作る細胞から分泌されるものです。体脂肪が増えると、レプチンの分泌量も増加し、それが脳に作用して食欲を抑えるような仕組みになっています。
脳でレプチンを受け止める受容体が少ないと、前述のように肥満や糖尿になりやすくなるのですが、今後、このレプチン受容体をどうしたらうまく発現させられるかという研究が進めば、こうした問題に解決策が見つかるかもしれません。
私見ですが、起こったり急なストレス状態になると、食欲が異常に亢進して、いわゆる「やけ食い」行動が起こることが知られています。これは、交感神経の高ぶりに対する生理的な反応と考えられます。このとき、レプチンの分泌が抑制されるか、もしくは脳に入りにくくなるのかもしれません。逆に、気分がめいったり、悲しみを感じているときは、食欲は大いに減退します。これは、孤束核という副交感神経のターミナルポイントに対して抑制がかかることに加え、レプチンレセプターにもなんらかの影響があるのかもしれません。
鍼灸やカイロプラクティックを受けると、食欲が出て元気がわいてくる、という方がよくいらっしゃいますが、これはこうしたメカニズムによい影響を及ぼしているのかもしれませんね。
吉川祐介ウイケアカイロプラクティック