1-3月期の実質GDP成長率は過去最悪の結果
2009年1-3月期の実質GDP成長率は前期比▲4.0%(年率▲15.2%)と戦後最悪のマイナス成長となった。10-12月期も▲3.8%の下方修正となり、2期連続で過去最低の1974年1-3月期▲3.4%を下回った。
1-3月期の数字を項目別で見てみると、個人消費が▲1.1%と前期よりさらにマイナスが拡大。自動車などの耐久消費財の買い控えが拡大している。
住宅投資については、前期比▲5.4%と3四半期ぶりに減少。設備投資も▲10.4%と4四半期連続でのマイナスとなった。
こうして1-3月期が大方の予想通り最悪の数字となったが、4-6月期については持ち直す可能性が高まっている。というのも足元の経済指標では、景気の底入れを示す数字が多くなっているからである。
4月の鉱工業生産は、3月の前月比+1.6%に続いて、5.2%と予想を大幅に上回る結果であった。これで、2ヶ月連続のプラスとなった。主なところでは、電子部品・デバイス工業が前月比+15.7%、化学工業+13.8%、輸送機械工業+7.0%と大幅な増加となった反面、一般機械▲14.5%、電気機械工業▲0.4%となった。在庫調整が進んだ電子部品に対し、引き続き設備投資の調整が続いている一般機械や電気機械がマイナスとなっている。しかし、在庫指数は、1月▲1.5%、2月▲4.2%、3月▲3.6%に続いて、4月も▲2.7%と12月のピークから11.5%の減少となり、4月の指数は2004年12月以来の低い数字となっていることから、在庫調整もほぼ終了しつつあるといえる。これからのエコポイントやエコカー減税などの効果から需要がかなり持ち直すと期待されている。
足元の数字は景気の底入れを示す
【輸出関連】
輸出についても明るさが出てきている。4月の輸出額は前年比▲39.1%(前月同▲45.5%)となり、いまだ大幅な減少となっているが、限界的な減少幅が縮小してきていることに注目する必要がある。日銀発表の実質輸出入によると、4月の実質輸出は前月比+7.8%と2ヶ月連続の増加となり、ここでも持ち直しが確認されている。
輸出を地域別に見ると、アジア向けは前年比▲33.4%(前月同▲39.4%)、米国向け▲46.3%(前月▲51.4%)、EU向け▲45.4%(前月▲56.1%)となっている。
【景気ウォッチャー調査】
景気ウォッチャー調査による企業部門の結果は、鉱工業生産に3ヶ月程度先行する傾向があるといわれている。
5月の景気ウォッチャー調査は、現状判断DI(方向性)が36.7と前月から+2.5ポイント改善。先行き判断も43.3と前月から+3.6ポイント改善しともに5ヶ月連続の改善となった。このところの改善ペースは、リーマンショック以前の2008年3月の水準にまで戻っている。
定額給付金、エコポイント、エコカー減税などの景気対策が一定の効果を生んでいるとのコメントが多く見られた。
年後半の景気対策効果に期待
このように、1-3月期は最悪の数字となったが、足元の景気はどうも底入れしたといっていい水準となっている。その大きな要因としては、1.輸出の安定、2.在庫調整の進展、3.政府の景気対策の効果、が挙げられる。
米国経済などはまだ予断を許さない状況であるが、それ以上に年後半の景気対策効果に期待したい。