- 吉野 充巨
- オフィスマイエフ・ピー 代表
- 東京都
- ファイナンシャルプランナー
対象:家計・ライフプラン
その際に考察したものを、コラムとして掲載します。
比較する期間は40年間というスパンで考えましたが、結果として、どちらを選ぶかは、本人自身の満足感によるもので、経済合理性に立脚したものではないのではないかと考えています。
もう一つの側面は、戦後の復興から高度成長期の間に刷り込まれた、土地は儲かる〜土地は資産として保有したほうが安心という考え方では無いだろうかと考えています。
なお、私も一戸建て住宅を取得(ローンなし)、賃貸マンションも経営しています。
★住宅取得の際、全額現金にて購入の場合を考えます>
自己資金を8,000万円投下して戸建て住宅を取得した場合、40年間に費用として6,412万円が費やされ、現金として4,844万円が残ります。
一方賃貸で住み続けると、資産運用次第で費消できる家賃が異なります。資産運用利率別に使用できる家賃を掲載しています。
何れをお選びになるかは皆様の判断にお任せします。
一戸建て、自己資金8,000万円で土地代5,000万円+建物3,000万円(消費税込み)の物件を取得。
1.当初必要経費300万円
不動産取得税+登録免許税+不動産仲介業への支払等で300万円(見込み)
2.40年間に掛かる費用2,700万円
固定資産税アバウト年間24万円×40年=960万円
修繕費用1240万円リフォーム代(バリアフリー等) 500万円
売却する場合の費用の考え方として、家屋は無価値とし、土地のみ(更地として)売却費用=256万円
不動産仲介料として5,000万円×3%+6万円=156万円
取り壊し費用等100万円
3.土地代は値下がりを見込まず、購入時と同一価格と考えた。
この場合住居費として掛かる費用のトータルは6,412万円になります。年間約160万円の費用です。
取得費用8300万円+ランニングコスト2,700万円+売却コスト256万円-売却費4,844万円(この金額が残資産)
以上でトータル費用が算出されましたが、住宅取得での費用やランニングコストの点で、低めの試算値としています。
実際はクーラーなど設備費用が加算されますがこの数値を見込むとより住宅購入が不利になるため、ランニングコストは抑えています。
なお、木造の耐用年数は30年とされていますので、取り壊し時の評価価格をゼロとしました。
★一方賃貸住宅で40年間を過ごされる場合は、この6,412万円が比較対象になります。
この場合、金融資産として8,000万円が活用できます。
1.賃貸住宅に住む条件として、10年ごとの住み替え、2年毎更新料1ヶ月、契約時手数料1ヶ月、礼金2ヶ月、引越し費用100万円と見込み、家具は試算外としています。
家賃は、管理費込みとする
2.資産運用の収益率は長期金利1.5%を適用したケースでは、毎月の家賃は11.9万円の物件になります。
この場合の家賃用トータル原資=資産取り崩し額(3156万円は1.5%運用毎年取り崩し)+
運用益(4844万円×1.5%×80%(税引き)の40年間)=3992万円+2325万円=6317万円ですので
(6317万円−引越し300万円)÷(12ヶ月×40年+更新料12ヶ月+手数料・礼金12ヶ月)=11.9万円/月
3.同じように資産運用の収益率を2.5%とした場合には、毎月の家賃が16.8万円の物件になります。
資産運用2.5%のケース⇒家賃用原資約8,490万円⇒家賃16.8万円/月
4.資産運用の収益率を3.0%と見込んだ場合は、毎月の家賃は19万円
資産運用3.0%のケース⇒家賃原資9,595万円⇒19万円/月
5.資産の運用収益率を3.5%とした場合には 月々23.6万円の住宅に住むことが可能です。
トータル原資は11,337万円(約5,425万円+5,912万円)になり、月々23.6万円の物件が借りられます
この5例の期待収益率は、定期預金と国内外の株式と債券に均等(20%ずつ)に資産配分した際のリターン3.5%、、リスク8%としてお勧めしているものです。
以上、期待リターンの違いでどの程度の家賃が払えるかを試算いたしました。最終の5例でも無理の無い運用と判断しています。