次世代パッシブソーラー【そよ風】 施工風景-9 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

鈴木 克彦
株式会社マクス 代表取締役
建築家

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対象:住宅設計・構造

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次世代パッシブソーラー【そよ風】 施工風景-9

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次世代パッシブソーラー【そよ風】搭載の家 富士市 パッシブソーラー【そよ風】の家
静岡県富士市の新築現場では、次世代パッシブソーラーの【そよ風】システムの施工中ですので、前回の続きをご紹介致します。

今回は、リターン口のご紹介です。

このパッシブソーラー【そよ風】システムの特徴は、
“冬に暖かい”
のは当たり前なので、それよりもむしろ、
“夏に涼しい”
点が上げられます。

それは、施工風景の最初の頃や、ソーラーのページを見ていただければお分かりいただけると思いますが、熱気を一旦室内に入れることなく、直接屋根で排気してしまうためです。

その為、室内側、特に採り入れ部の直後の部分においても、大掛かりな機械スペース等が不要です。


以前、その採り入れ部周辺の施工風景をご紹介いたしましたが、完成したものが今回の写真です。

ここはロフトですが、床下へ空気を送るダクトとファンを木で囲ってある(メンテナンス時開きます)のが奥の方に見えると思います。


桐の天井に四角い部分があるのがお分かり頂けますでしょうか?
点検及びメンテナンス用、兼、リターン口です。

リターン口というのは、これまたそよ風システムの特徴で、
屋根から空気を取り入れしていない時、
つまり、
冬の夜間や雨の日、
そして、
夏の日中(夏の夜間は放射冷却で冷えた空気を採り入れ)、
ですが、

その際に、室内で循環運転が出来ます。

例えば、冬、暖房をしていると、暖かい空気は上に登るので、二階ばっかり暖かくなります。

特に我が家のように薪ストーブを焚いたりすると、一階をホカホカにすると、二階がやや寝苦しいほど熱くなってしまいます。
(プロペラ付きシーリングファンごときでは完全に解消出来ません)

そんな時に、ここから暖かい空気を再び床下に送って循環してあげると、家中快適です。


そして、夏も、屋根で熱気を排出しながら、エアコンの冷気を家中に循環させるといったことが可能です。


詳しくはソーラーのページをご覧いただくとして、このリターン口は、アルミの既製品に、大工が桐の板の残材でルーバー状にこしらえた物です。


そして、話を床の方へ進めますと、床下に送られた空気は、この様に一階の床の各所に設けられた吹き出し口から出て来ます(もう一枚の写真)。

窓際に重点的に配置してあるのは、窓で冷やされた空気が床下へ流れてくる、コールドドラフトという現象を防ぐのが狙いです。


見学会の際に、この吹き出し口に手をやり、
「別に暖かくないですね?」
と仰った方がいらっしゃいましたが、その通りです。

うちわでも、扇風機でも、お風呂の暖房乾燥機もそうですが、肌に風が当たると、余程高温でない限り、涼しく(冷たく)感じますよね。
コレと同じです。

そもそも、ここから出てくる空気は、床下の蓄熱層である、コンクリートを暖めた後の空気ですので、ファンヒーターの様な暖かい風が吹き出してくるわけではありません。

パッシブソーラーは、
寒い時でもほのかに暖かく、
熱い時でも何となく涼しい、
が基本です。

一年365日常に25℃、とかいうのは、一年365日24時間エアコンを運転し続ける家でないと無理です。

パッシブソーラーは、自然の力を借りて過ごしやすくするのが基本です。

ですから、トイレ・脱衣室・玄関や納戸など、家中に新鮮な空気で回して、寒い部屋・湿気がこもる部屋、を作らないと言うのが基本です。



鈴木克彦 『頑張れ四代目日記』 より


尚、次世代パッシブソーラー【そよ風】システムについては、こちらをご覧下さい。
施工:株式会社マクス