- ヨシダケイスケ
- はたらくちからラボ 代表
- 東京都
- キャリアコンサルタント
対象:キャリアプラン
- 宇江野 加子
- (キャリアカウンセラー)
- 冨永 のむ子
- (パーソナルコーチ)
■対象者
高校2年生 理系志望 男子
■進路サポートより
「進路相談に乗ってほしい」と深刻な表情で話しかけてきた男子です。
2年生に進学してもう2ヶ月が経ち、受験のことを考えていかなければならないのに、成績が奮わず焦っているとのこと。どの教科もやらないといけないことは分かっているが、集中できず、問題を解いても正解率がいっこうに上がらない。どうしたら良いでしょうか。との相談でした。
まず、将来の目標を見据えるところから始めます。職業レディネステスト(VRT)では、職業に対する興味も関心も「現実的」の傾向が強く、日常生活における興味は、モノや機械への関心が高いという結果でした。全体的に、性格傾向の方向性はかなり定まっていることが見受けられました。
この結果に対して本人は、思っていた通りの結果だったとのこと。「現実的」に該当する職業リストを見てもらうと、「実はなりたい職業がある」と切り出してくれました。VRTの職業リストには載っていなかったので、VPIのリストを参照してもらったところ、鉄道車両整備士や航空機整備士に関心があるとのこと。でも、どうやったらなれるかがインターネットで調べてもよく分からないので、ひとまず理工系の大学に進めるように広く勉強をしているのだと教えてくれました。
彼にとっての問題点は、一人で考えているために、いつも同じところで止まってしまい、思考を前に進められていなかったことでした。そのため、面談でなりたい職業と関連性のある大学や学部を絞り込み、受験科目を踏まえて学習する教科の優先順位をつけたことで、彼はいま何をやることが大事なのかが整理でき、漠然とした焦りを感じなくて済むようになっていきました。
彼は、進路について普段から一人でよく考えていたようです。面談の最後になって、実は独学で電気工事士や電気主任技術者の資格試験の勉強をしていて、それはすごく楽しいのだということを教えてくれました。その一方で学校の勉強に身が入らない自分に嫌気がさしていることが、彼の悩みの本質にあったことが見えてきました。
周りの人たちは「君は将来のことを真面目にしっかり考えていて素晴らしい。だから将来のことはそれくらいにして、今は学校の勉強の成績を上げることを考えよう」というアドバイスになりがちだったようです。彼はそれを真面目に受け止め、自分の興味のあることを勉強することに後ろめたさを感じてしまっていたのかもしれません。
自分のなりたい職業のことを考え、どうやったらなれるかについて情報収集し、今やるべきことを整理する、という一連の流れは、社会経験のある大人から見れば大したことのない作業だと感じてしまうかもしれません。しかし「働く」というイメージ自体が曖昧な高校生にとっては、とても難しいものです。とはいえ、大人にとっては当たり前のことすぎて、何をアドバイスすれば生徒本人が前に進めるようになるのかを把握しにくいことと思います。
将来のことを一見よく考えている生徒に対して、どこで行き詰まって悩んでいるのかを把握し、適切なアドバイスを贈ることを、「アシタプラン」では重視しています。
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