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〜精神活動が含まれる歯科治療システムの発明〜(第14回)
河野特許事務所 2009年3月6日
執筆者:弁理士 河野 登夫
A computer based interactive dental restoration method for patient!s tooth which comprises:
-generating an electronic image of a patient’s tooth in a dentist’s of fice, wherein the image includes information representative of a dental need of the patient;
-designing a preliminary treatment plan for the dental needs of the patient, wherein the design criteria include digital image representations of the dental restoration need;
and
-forwarding the electronic image to a dental restoration laboratory over a comunications network,wherein a technician evaluates the image and, if necessary, suggests alternative restorative options to the dentist in real tome.
「歯科医師の診療室で患者の歯科的必要性を表す情報を含む患者の歯の電子画像を生成し;
患者の歯科的必要性に向けられており,患者の歯科治療必要性を表すディジタル画像を含む策定規準を有する初期治療計画を策定し;
歯科技工士が画像の評価をし,必要に応じて,実時間で歯科医師に歯科治療の代案を助言する歯科技工室に通信ネットワークを介して電子画像を伝送することからなる患者の歯の双方向歯科治療方法。」
ヨーロッパ特許条約は第52 条に「特許することができる発明」を規定している。すなわち,
(1) 欧州特許は,産業上利用することができ,新規でありかつ進歩性を有する総ての技術分野における発明に対して付与される。
(2) 次のものは特に(1)にいう発明とはみなされない。
(a)発見,科学理論及び数学的方法
(b)美的創造物
(c) 精神的な行為,遊戯又は業務の遂行のための計画,法則及び方法,並びにコンピューター・プログラム
(d)情報の提示
(3) (2)の規定は,欧州特許出願若しくは欧州特許が同項に規定される対象又は行為それ自体に関係している範囲内においてのみ,当該対象又は行為の特許性を排除する
(以下省略)
つまりヨーロッパ特許条約では「精神的な行為それ自体」の発明または「精神的な行為」のみからなる発明の成立性を否定している。ヨーロッパ特許庁はコンピュータソフトウェア関連発明の審査ガイドラインを有しているが,これだけではなく,審決例に従って技術的問題の解決,技術的効果(貢献)及び技術的考慮があるか否かによって成立性が判断される。「精神的な行為」に関する発明については,「精神的な活動」を単にコンピュータに代替させるだけと認定される発明は,技術的な貢献がない,として発明の成立性を否定した審決例がある(2)。本願発明1 のように「精神的な行為」を構成要件の一部に含む発明についての審決例は存在しない。
(第15回に続く)