「子宮筋腫」があると言われたのですが・・・ - 婦人科全般 - 専門家プロファイル

浅川 恭行
医療法人晧慈会 浅川産婦人科 理事長
神奈川県
産婦人科医

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対象:産婦人科

浅川 恭行
浅川 恭行
(産婦人科医)
浅川 恭行
(産婦人科医)

閲覧数順 2024年04月18日更新

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「子宮筋腫」があると言われたのですが・・・

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子宮筋腫は成人女性の3~4人に1人が有していると言われる良性の腫瘍で、多くの場合30~40歳代で発見されます。大きさが変化しない場合もありますが、増大していく場合もあります。女性ホルモン(エストロゲン)により大きくなります。閉経後はエストロゲンと呼ばれるホルモンが減少するため、自然に縮小していきます。

子宮筋腫を持っていてもほとんどの方(80~90%)は特に症状や問題はなく、治療も必要としません。日常生活に支障が生じて何らかの治療が必要となるのは少数(10~20%)です。「良性」の腫瘍ですので、定期的な検診を受けて経過を観察したり、適切な治療を行えば日常生活に支障をきたすことはまずないため、「子宮筋腫」と言われたからといって不安になりすぎる必要はありません。

治療が必要となった場合、手術の方法としては開腹手術のほか腹腔鏡手術などがあります。お腹を大きく切って行われる開腹手術に比べ、腹腔鏡は腹部に5mm~1cm程度の穴を4箇所ほど開け、そこから小型カメラや器具を入れて行われるため、傷が小さくてすみ、術後の痛みも軽く、回復が早いなどのメリットがあります。 ただし手術に熟練を要し、特別な設備が必要となるため、受けられる医療機関は限られています。

当院の院長は内視鏡(「腹腔鏡」は内視鏡の一種)の専門医です。当院の外来で治療方法などのご相談(診察)をお受けします。実際に手術が必要となった場合には、適切な病院に紹介いたします。

院長の診察をご希望される場合は、事前にお電話で診察日をご確認ください。

経過観察が可能な筋腫(全体の80~90%)

  • 過多月経の場合
  • 月経困難症の場合
  • 圧迫症状がある場合

治療法

治療法が「開腹手術」か「経過観察」しかなかった以前と比べると、現在はさまざまな方式の手術が行われるようになってきました。治療法についての正確な情報を得て、自分のライフスタイルにあった治療法を選択しましょう。

子宮を取ってもよい 
子宮全摘術 
(子宮を全部取る)
メリット 
・再発の心配がない。 
・筋腫の症状がなくなる。 
・子宮ガンの心配がなくなる。
デメリット 
・妊娠・出産ができなくなる。 
・子宮がなくなったという喪失感がある。
子宮を残したい 
子宮筋腫核出術 
(筋腫のみを取って子宮を残す)
メリット 
・筋腫の症状がなくなる。 
・妊娠・出産の可能性がある
デメリット 
・手術中の出血量が多くなる傾向がある。 
・再発の可能性がある。

手術法

開腹手術 
(お腹を切って直接見て行う)
子宮全摘術・子宮筋腫核出術
メリット 
・手術時間が短い。 
・おなかの中の状態を直接見ることができるので、確実で安全な手術ができる。 
・大きい筋腫や数の多いもの、筋腫以外の異常にスムーズに対応できる。 
・筋腫の手術を行っている医療機関であればほとんどの場合受けられる。
デメリット 
・身体への影響が大きく、術後に痛みがある。 
・術後の癒着が多い。 
・入院期間が長く、社会復帰に時間がかかる。 
・おなかに傷跡が残る。
腹腔鏡手術 
(お腹に1cm程度の穴を数個開け、そこから挿入した小型カメラで内部を見ながら行う。)
子宮全摘術・子宮筋腫核出術
メリット 
・傷が小さくてすむ。 
・術後の癒着が少ない。 
・術後の痛みが軽い 
・入院期間が短く、社会復帰も早い。
デメリット 
・開腹手術に移行する場合がある。 
・すべての筋腫に応用できない。 
・手術に熟練を要する。 
・特別な設備を必要とするため、受けられる医療機関が限られる。
膣式手術 
(お腹は切らない。膣から手術を行う。)
子宮全摘術のみ
メリット 
・膣からの手術のため、おなかに傷ができない。 
・術後の痛みが軽い。 
・入院期間が短く、社会復帰も早い。
デメリット 
・手術の時に見える範囲が狭く、筋腫以外の異常に対応できない。 
・開腹手術に移行する場合がある。 
・分娩経験や筋腫の大きさに制限がある。 
(出産経験があり、筋腫の大きさが成人の握りこぶし大以下の大きさで、手術の既往がないことが膣式手術の適応条件。 ただし、腹腔鏡を併用することで、この条件は緩やかになります。)
子宮鏡手術 
(お腹は切らない。子宮用の内視鏡(子宮鏡)を子宮の入口から挿入して、内部の様子をモニターに映してそれを見ながら行う。)
子宮筋腫核出術のみ
メリット 
・膣からの手術のため、おなかに傷ができない。 
・術後の痛みが軽い。 
・入院期間が短く、社会復帰も早い。
デメリット 
・適応となる筋腫が限られる。 
・まれに、腹腔鏡や開腹手術に移行する場合がある。 
・筋腫が大きい場合、数回に分けて手術する場合がある。
その他の治療法 ・子宮動脈塞栓術(UAE) 
・集束超音波手術(FUS) 
・マイクロ波子宮内膜焼灼術(MEA)

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