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浅川 恭行
医療法人晧慈会 浅川産婦人科 理事長
神奈川県
産婦人科医

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対象:産婦人科

浅川 恭行
浅川 恭行
(産婦人科医)
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閲覧数順 2024年04月19日更新

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卵巣のう腫とは

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卵巣のう腫は、卵巣に発生する液状の内容を納めた袋状の病変で、若年(20歳代~30歳代)に多い良性腫瘍です。子宮内膜症により卵巣内にチョコレートのような古い出血が貯留する「卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)」、水や粘液が貯留する「嚢胞腺腫(のうほうせんしゅ)」、皮膚や毛髪・歯などの体の他の部位の組織が貯留する「皮様のう腫」などがあります。

卵巣

また排卵後、一過性に卵巣が腫れてくる場合がありますが(「機能性のう胞」や「黄体のう胞」と呼ぶ)、これらはしばしば卵巣のう腫と間違われます。

卵巣のう腫の症状と診断

卵巣のう腫は、大きさによっては下腹痛や腹部の腫瘤感(しゅりゅうかん)を生じます。とりわけ卵巣皮様のう腫の場合、「茎捻転(けいねんてん)」を起こすことがあり、急性腹症で救急受診となる場合もあります。また無症状で健康診断や妊娠を契機に発見されることも多く、他科(内科など)を受診した際に偶然発見されることもあります。

卵巣のう腫の診断は、主として画像診断です。内診(触診)でも、ある程度の大きさになると診断が可能になります。
超音波検査(経腟・経腹)では、卵巣のう腫の大きさやおおよその状態がわかります。


CT検査やMRI検査では、のう腫の内部の構造をより詳細に調べることができるため、卵巣のう腫の種類の決定や、良悪性の予測に役立ちます。血清腫瘍マーカーは、卵巣のう腫の良悪性を予測する補助的な検査です。

腫瘍マーカーの数値で診断を決めることはなく、異常値を示したからと言って、悪性であるということではありません。

卵巣のう腫の治療

ある程度の大きさや、疼痛や腹部の腫瘤感/圧迫感などの症状がある場合は、手術療法など積極的な治療の適応となります。大きさが小さく、悪性を疑う所見が乏しければ、超音波検査などによる定期的な経過観察を行うこととなります。また一過性の卵巣腫大である機能性のう胞や黄体のう胞は、自然に消退することが多いので、経過観察を行います。

卵巣子宮内膜症性嚢胞(らんそうしきゅうないまくしょうせいのうほう)は、GnRHアゴニストや、黄体ホルモン、低用量ピルなどのホルモン療法で縮小が期待できるため、ホルモン療法を行うことがあります。

その他の卵巣のう腫では自然消失が期待できないため、手術療法の適応となります。卵巣の温存が必要もしくは可能なものでは、卵巣のう腫核出術(卵巣のう腫だけを摘出し、正常卵巣部分を温存する)を選択します。そうでなければ、卵巣摘出術もしくは卵管を同時に切除する付属器摘出術を行います。

手術の方法には、腹腔鏡下手術と開腹手術があります。腫瘍の大きさや、悪性をどの程度疑うのかなどを考慮して手術方法を選択します。

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