- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
対象:英語
「自分で問題をみつけ」「あらゆる角度から問題を吟味し解決法を探り」「解決出来た結果を分析する」
日本の教育が至上命題に掲げている能力です。
一体どうしたら日本の子供にそんな能力がつくのでしょうね?
実は、カナダから行っているオンラインレッスンにその答えを見つけたと思います。
カナダにベースを移してからも、日本の子供たちの指導を続けています。
“Canada Club” と名付けたオンラインレッスンです。
日本時間に合わせたリアルタイムで、Google Hangout, Google Doc, Skype, LINE などを駆使して行いますが、目の前で手とり足取りというわけにはいかないので、かなりの工夫が必要です。
日本の学校・家庭での Information Technology 機器の利用がずいぶん遅れている悲惨な現状の中、Canada Club の生徒たちは、否応無しにComputer, Internet を使いこなす試練に立たされます。
例えば、11月・12月の特別プロジェクトとして始めた”Book Reading”。
一斉につまらない教科書を読むのではありませんよ。
生徒それぞれに興味のある英語の本を選びます。
人が選んだ本なんて、まずそこからが受け身です。
今治教室を閉めた時に、膨大な英語の本(初歩から上級まで)を生徒たちが持って帰りました。 一緒に時を共有した思い出とともに、今後の勉強のために。
その本たちが大活躍です。
さぁ、それぞれが選んだ本を使って、一体どうやってオンラインレッスンが成り立つのか?
子供たちの「問題解決特訓」の出番です。
そのプロセスは:
1.Google Drive にログインし、Google Doc で自分の本の内容を共有する。
本全部というわけにはいかないので、とりあえず初日は最初の1ページのみを。
「え?本を?共有?え?え?」なんて言ってる場合ではありません。
本のページをどうやってコンピューターに移すかを自分でたちで考えます。
スマートフォンで写真を写して、それをそのままDrive に保存。
すごい時代に生きてますね、今の子供たちは。
(本当はスマートフォンアプリのスキャナーも使えますが、自分たちで発見するまで待ってみます。)
Google Doc の「共有」もだいぶん慣れて来ましたが最初は大騒ぎでした。
2.生徒たちの顔を全部並べて、指導するのは Google Hangout。
最初はSkypeを使っていましたが、カナダは日本と比べてWifiが遅いので(光が余り普及してません!)4人乗ると固まってばかりでした。
Hangout は8人以上乗ってもかなり安定してます。 少々画像の質は悪いですが、モデルの採用面接でもあるまいし、全く問題ないです。
Skype から Hangout に切り替える時もひと苦労。
生徒はみんなGoogle Drive アカウントを持っているので、移行は簡単だと思いきや、えらい大変でした。
あたふたする生徒を、同じくあたふた見ているお母さん・お父さんたちは、日本では未だ e-mail 世代なのでしょうか。
Google のプラットフォームとSkype とメールがごちゃごちゃになってしまったケースも。
助けの得られない生徒たちが、ああでもないこうでもないと試行錯誤して、やっとHangout に顔が出たときの満足そうな表情が最高です。
3.自分が選んだ本のページをファイルとして保存し、Google Doc で共有したあとは、Hangout から「出来た!」
さぁ、ここでも難関が!
自分本位の目線で考える生徒はファイル名は何やら不明な記号が並んでいるばかり。
ページの写真を撮ったときの画像ナンバーなんでしょうか。
「どれだかわからないよ!」と、こちらからツッコミ。
「え?」と絶句したあと、また必死で考えます。
自分からだけの目線だと、目の前のGoogle Doc の画面には自分の作ったファイルしかないわけですから、「なんで見つけられないの?」となります。
私が見ている画面からの目線で考えると、「他の生徒からのファイルもいっぱい並んでいる!」と気がつきます。
自分の名前をファイル名につけないと認識してもらえない!と理解します。
ひとつ問題解決です。
でも、まだまだあります。
「何の本なのかわからないよ!」と一言こちらから。
「あ!?」
問題発見してから、解決までの時間がどんどん短くなって来ます。
_____________
個人差も大きいですね〜。
何も言わなくても最初から自分で考えてプロセスをマスター出来る生徒。
何回も説明してもやっぱりわかりにくい生徒。
突き詰めて考えてみると、例えば「何のためにこのプロセスが必要なのか?」という自分の行動の目的を理解する能力の差が現れると思います。
心理学では "Theory of Mind" と言い、人類だけの特権能力です。
"Theory of Mind" を完全に潰そうとしている日本の教育から、首をあっぷあっぷさせて頑張る生徒たち。
カナダからのオンラインレッスンの、効果の絶大さが実感出来るのはこれからです。
一緒に伸びようね、生徒たち!
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
「科学に基づいた心理学から」のコラム
【PodCast】終わらないパンデミックに疲れてしまったあなたに(2021/04/23 05:04)
インターナショナルプリスクールに2年ほど通わせると英語が出来るようになりますか?(2020/09/05 04:09)
”Hope”とは(2019/01/03 05:01)
3歳児を英会話教室に通わせるのは早すぎますか?(2018/12/01 05:12)
SNSプロフィール画像に現れる心理状態(2017/07/28 07:07)
このコラムに類似したコラム
日本式英語エッセイは大間違い:カナダの本物エッセイ講座にいらっしゃい! 大澤 眞知子 - カナダ留学・クリティカルシンキング専門家(2023/08/04 03:39)
英語の出来ない日本人の脳に「本物エッセイ」を教える方法 大澤 眞知子 - カナダ留学・クリティカルシンキング専門家(2022/11/06 04:44)
日本人はなぜ世界で1番英語ができないのですか? 大澤 眞知子 - カナダ留学・クリティカルシンキング専門家(2022/11/03 14:05)
Critical Thinkingを学ぼう 大澤 眞知子 - カナダ留学・クリティカルシンキング専門家(2021/12/24 09:53)
英語発音矯正オンラインレッスンおすすめは個人レッスン 妹尾 佳江 - 英語発音とフォニックス指導の専門家(2021/11/14 21:25)