- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
外張り断熱は本当に地球に優しいのか?
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これからの家づくりの視点
「高断熱・高気密」後のより自然に即した断熱法とは?
2008-11-07 17:35
そして、高断熱を施すためには内部結露の原因となる水蒸気を壁体内に入れないための気密が必要である、ということは、自然を科学的に読み解くことで得られた解決法であり、その技術として確立されたのが高気密・高断熱工法と言えます。
しかし、これまで長い歴史の中で培ってきた日本の木造技術は、壁の中に湿気を溜めない、湿気を通すという全く逆の技術でした。
ここに日本の家づくりのイメージにおいて大きなギャップがある訳です。
科学万能の時代に生まれ、より自然と対峙する生活の中に身を置いていても、宇宙の総てを解明できた、と奢るほどまだ何も分かっていないことを私達はよく知っています。
「科学技術がどんどん発達してゆけば、我々はより自然に近づく」と考えれば、今、確立されている高断熱・高気密の技術も過度的なものに過ぎないと言えるでしょう。
例えば、外張り断熱に用いられている断熱材は、現在、その殆どが発泡プラスチック系の断熱材です。
断熱により熱損失の少ない家づくりをすることは、CO2の排出を抑制する上で極めて効果的です。
しかし、その為に生産エネルギーの大きな石油系断熱材を用いるというのはちょっと矛盾する話です。
勿論、発泡プラスチック系断熱材によって高断熱化された家が生涯削減できるエネルギーに比べたら、その一軒の家に使用される発泡プラスチック系断熱材の生産エネルギーは遥かに小さなものかもしれません。
それでも、使用される断熱材がもっと生産エネルギーの小さな、しかも断熱性能の高いもので、さらに、使用後に廃棄処分が容易なものであればそれに越したことはありません。