計画中の都内狭小地の長屋計画。
建築確認の検査機関への事前申請が完了。やっと、新年を迎えられた心境です。
この計画では、東京都の安全条例の規制から、屋根に軒の出が全く作れません。
敷地内通路のためです。(安全確保と何の関係なのかは?ですが、さておき‥)
ここで、計画上ケアが必要なのは、雨水のおダレによる外壁の汚れ対策 です。
ジョリパットなど左官系仕上げでは、雨のたびに外壁が黒ずむ懸念があります。
思案の末、たどり着いたのが、金属系(ガルバリューム鋼板)のサイディング。
これなら、左官系仕上より工程が一つ少ないので、コストも抑えられます。
波型のパターンなら、日光が乱反射して眩しくならなくて、いいですね。
‥と、建主の皆さんにも好評です。試してみると、なるほど確かに眩しくない。
コンクリート(モルタル系塗り仕上)の基礎のテクスチャーとも合わせられる。
こうなったら、屋根のガルバリューム鋼板・アルミサッシ・照明器具も含めて
外装材のテクスチャー全てに統一感を持たせようか。
さて。この『サイディング』という外装材。
建築家が嫌う建材のさえたるものだそうで、メーカーさんから届いたカタログ
・サンプルを見るに、確かに フェイクのテクスチャー のオンパレードです。
木質調あり、タイル調あり、かたや石積調、レンガ調‥。正直、あまりに陳腐。
もともと、フェイクの建材への物議は、関東大震災の時代にさかのぼります。
(大学時代、卒論作成のため調べたことがありました。)
煉瓦積みが構造体としてではなく、RCの外装材として用いられるようになり
煉瓦の代用品としてタイルが用いられるようになり、やがてタイルはタイルと
して、ひとつの外装材の地位を確立していきました。
ただ今日、建売住宅などで頻繁に用いらているサイディングに見るフェイクは、
意味合いが違うのでしょう。つまり‘作り物’であることを、住み手も造り手も
すでに受け入れてしまっているのです。
例えば『東京ディズニーランド』のシンデレラ城もアトラクションの山も海も、
ハリボテの‘作り物’であることは、皆知っています。ただ、その場の非日常性
に浸かると、その時は確かに楽しい。ファンタジー です。
そのファンタジーを、日常空間である住宅建築に持ち込んでいるのでしょう。
そんな意識は、私には違和感があります。
木は木だし、コンクリートはコンクリート。鉄は鉄。アルミはアルミ。
素材のありように素直な、お刺身・住宅建築 でいきたいですね。
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このコラムの執筆専門家
- 岩間 隆司
- (東京都 / 建築家)
- 株式会社ソキウス 代表取締役
スマートに シンプルに 住う。 都市型住宅・集合住宅
都市の厳しい条件のもとでも、住宅や集合住宅を実現させてきました。住宅計画における制約は、生活空間に個性が生まれる、ひとつの契機として、ポジティブにとらえております。
03-5735-9700
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