
- 堀江 健一
- カウンセリングルーム エンパシィ 代表責任者
- 東京都
- 恋愛恐怖症・心の問題カウンセラー
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070-6640-7990
恋愛や仕事、生き方全般に、ままならぬ感情があって、四苦八苦している主人公、男女4人が共同生活をしながら、ジタバタするコメディです。
コメディなので、あまりシリアスには描かれていませんが、阿部サダヲさんは、現在の同居人で元妻である山口智子さんに対して、過去に、「妻が浮気している」という妄想に駆られ、その思いから家庭内暴力に発展し離婚してしまいました。
お話の中で、実は「本当に浮気していた」と山口さんから告げられ、阿部さんも絶句してしまうと言うオチでした。
前回のブログでは、モラハラ夫にはどんなタイプがいるのかと言う話を書きましたが、もう少しその続きを書いてみたいと思います。
モラハラしている側の人間は、「自分はモラハラしている」という自覚はあまりなく、
「理屈で考えても、自分は正しい」
「当然言わなければいけないことを言っているだけ」
と思っていることが多いため、される方の人は、感情的に辛いと言う事が理解してもらえない事が多いようです。
ただ難しいのは、相手の言葉尻を捕らえて、「こんな傷付くことをされた」とか「こんなデリカシーのないことを言われた」と感じて傷付くのは、それぞれの感情であり、それは主観的なものであるので、
ひょっとすると「被害者意識が強くなってしまっていて」傷付いているだけかも知れないところです。
もって周った言い方でわかり難いですよね。
具体的に、よく耳にするエピソードを例にして見ましょう。
妻が食事を作っている最中に、夫が食卓につきます。
妻は「もう作ったものを出しておいたから、つまみに先に食べていて」と、夫に言います。
でも、一向に夫はつまみを食べようとはしません。
「どうしたの?食べないの?」
と妻は夫に尋ねます。
すると夫は
「だって箸を出してもらってないから、食べられない。なぜ出してくれないのか?」
と答えます。
このエピソードを読んで、読んだ方はそれぞれの思いにかられることでしょう。
「お箸くらい、出てなかったら自分で出すのが当たり前だろう!子供か?!奥さんだって忙しいんだろうから忘れる事だってあるだろう?」
「普通、愛情がある奥さんなら、箸なんか最初に出しておいてくれるものだろう。その箸を出しておいてもくれないなんて、嫌がらせにしか感じられないよな」
奥さん側からすれば、夫にモラハラされた被害者ですし、
夫側からすれば奥さんにモラハラされた被害者となってしまいます。
どちらの言い分が正しいかはさておき、それぞれに言い分があったりするわけです。
こうした問題が起きたとき、どちらの言い分が正しいか、一般的かという論争になってしまいがちな傾向が高いかと思われます。
どちらの言い分が「常識的に正しいか」は、裁判ではないですが、100人にアンケートでも取ったり、周りの友人にでも意見を聞いてみれば、どちらが「一般常識的に正しいか」結果が出るでしょう。
しかし「どちらが正しいか」がわかったから、その正しい方を今後は行うようにしよう、と物分り良く理解して、納得して、それで夫婦円満になれば問題ないのですが、なかなか人間そうはいかない場合もあるから、モラハラ問題が解決されないわけです。
それだけでは、話し合いは平行線となりがちです。
自分の主張や考え方が正しいと言い張ってしまうだけで、相手が辛かったり、困っていることを理解し、共感してもらわないと、むしろエスカレートしてしまうこともあります。
ご夫婦二人で話し合っても、話がまったくかみ合わず、論点がずれたまま、埒があかなくて、離婚調停や離婚裁判になってしまうケースが多い事でしょう。
モラハラ問題に限らず、夫婦間の不和には、少なからずこうした「いさかいの種」があるようです。
そうした場合
夫婦カウンセリングという選択も考えてみていただければと思います。
ただ、現実的に
「2人の夫婦関係を良くするために、夫婦でカウンセリングを受けてみたい」
と相手にお願いしても、
「カウンセリングなんて受けない」
と言われてしまうことも多いようです。
相手もカウンセラーから説教されてしまうのではないか?
間違ってると否定されてしまうのではないか?
と密かに恐れがある場合があるようです。
そこで、お願いしても相手にカウンセリングを受ける気がなさそうな場合、少し角度を変えて提案してみることもありかと思います。
どんな人でも悩みや問題を抱えているものです。
ましてや夫婦間でモラハラ的な問題を起こしてしまう方は、物事の捉え方や感情、考え方などにいささか偏りがあり、抱えている問題が夫婦問題だけではない事が多いのです。
それは職場での人間関係や、その方の家族との問題や、生き辛さのようなものかも知れませんし、不眠やうつ、強迫性障害、または高血圧や胃炎などの体調不良のような心身症的な身体の問題として現れているかも知れません。
そこで、本丸である「モラハラ夫婦問題」の解決のためにカウンセリングに行ってみようと誘うのではなく、
「あなた何か問題を抱えていて辛そうだから、何が問題になっているのか、カウンセリングでも受けて、少しでも楽になれたらいいんじゃないかと思うから、一緒に行って見ないか?」
というニュアンスで、カウンセリングを促してみるのです。
もしカウンセリングに来られても、最初から夫婦問題の事が話題にはならないかも知れません。
しかし、モラハラしている本人の、色々な問題についてカウンセリングしているうちに、その本人とカウンセラーの間に
「この先生は、話をわかってくれる」
と信頼関係が出来てくると思われます。
すると、「実は、うちはどうも夫婦仲が上手くいっていなくて、、、」と話し合ってみる気になってくれる可能性は大きいものです。
最初から、ご夫婦でカウンセリングを受ける体制があれば、話はもっとスムーズかも知れませんが、途中から
「ご夫婦仲に問題が生じているのですね。では今度のカウンセリングには、奥様にも同席していただきましょう」
と話が進む例は沢山ありました。
ご夫婦がそろったところで、本格的な夫婦カウンセリングが始まるわけです。
私の経験と、カウンセリングの方針を述べてみます。
最初はやはりそれぞれの言い分を訴えて、
「先生、どっちが正しいと思いますか?」
なんて話になりがちです。
しかしカウンセラーは、どちらの味方もしないし、判断を下す事も、あまりしないものです。
言い方を変えると、悪者を作り出すようなことは、治療上にも、良い結果を生む事が少ないのです。
では、何をするかというと、通訳のような役割を果たします。
ご夫婦の間に入って、お互いに共感を示しながら、
言葉の足りないところを補足し、
お互いの気持ちを、相手に伝わりやすいように言い換えたり、
本音を引き出したり、
相手の気持ちを想像してみるように
促したりを繰り返します。
論点がずれていた場合は、
「いや、奥さんはそういうことを言いたいのではなく、ただ、これを分かって欲しいと訴えているだけなのです」
みたいに、修正していきます。
論点のズレとは、先の「箸」の例で言えば、例えば、
奥さん「お箸くらい、自分で出してくれても良いじゃない!」
旦那さん「自分で箸も出さない、俺が悪いって言うのか!
お前なんか箸だけじゃなくて、ゴミ出しだって俺にやらせているのに、また俺を責めるのか!?」
カウンセラー「いやいや、奥様は旦那様を責めているわけではなくて、
うっかり箸を出し忘れる事もある。
人間誰だって完璧ではないのだから、箸を出し忘れた事をそんなに責めずに、許して欲しいし、料理を懸命に作っている私に、思いやりを持って欲しいと言う事を、おっしゃっているのですよ。
ところが、旦那さんは、そうした奥様の要求に対して、ご自分が責められているように感じてしまわれるのですか?そして奥様を責めたくなってしまうのでしょうか?どうしてでしょう?」
と言う風に論点を明確にしていきます。
第三者に客観的に指摘される事で、ご自分も熱くならずに、少し冷静に状況を考える事ができ、無意識的に行っていた自分の言動を客観的に見ることが出来るようになっていくものです。
こうしたことの繰り返しで、段々と自動的に「怒り」としてしか反応していなかったご自分の感情が、自分の感情に気付いたり、相手の気持ちを想像したり、思いやりに変化していく方向に修正されていくのです。
これはほんの一例ですが。
このようなやり取りは、当事者である2人だけで行うのは難しく、やはり第三者の介入が必要とされるものかと思います。
また、相手の方は来ないにしても、モラハラを受けているご本人だけでもカウンセリングを受ける事によって、
発散になる
自分が間違っていたり、おかしかったりするわけではない事が理解できて安心する
相手への対処の仕方や、相手への見方が変わってくる
客観的に自分を見つめるきっかけができる
などの効果が期待できる事と思います。
また「モラハラ夫」と、夫前提で書きましたが、モラハラになってしまうのは、何も夫(男性)だけではありません。
妻(女性)が男性にモラハラしてしまうことも当然あるわけです。
続く
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このコラムの執筆専門家

- 堀江 健一
- (東京都 / 恋愛恐怖症・心の問題カウンセラー)
- カウンセリングルーム エンパシィ 代表責任者
何より優しく共感を持って、あなたの味方になります
2021年公認心理師(国家資格)取得13年間で1万人以上の相談実績を基に、深く人を理解し心のもつれた糸を解きほぐします。恋愛が出来ない、自己否定感、人と接するのが怖い、夫婦間の亀裂など、人間関係全般、アスペルガーの方の社会適応などのご相談。
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