利率変動型積立終身保険 - 保険設計・保険見直し全般 - 専門家プロファイル

田中 香津奈
かづなFP社労士事務所/株式会社フェリーチェプラン 代表取締役
東京都
CFP・社会保険労務士

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対象:保険設計・保険見直し

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利率変動型積立終身保険

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かづな先生の新保険ゼミ 02.加入している生命保険の種類は?

(主契約は「積立型終身保険」、特約はなし)

保障ニーズ : 死亡|医療|介護|老後|その他




利率変動型積立終身保険とは、第一保険期間と第二保険期間とに分かれ、第一保険期間中は積立部分を主契約とし、定期保険(特約)や医療保険(特約)などの保障部分をセットした保険で、第二保険期間では、第一保険期間に積み立てた額を元に、終身保険に移行するため、何歳で亡くなっても、一時金で死亡保険金が支払われる保険です。「アカウント型」や「自由設計型保険」とも言われています。積立部分を保障部分の保険料に活用したり、積立部分と保障部分の保険料割合を変更することで、転換せずに保障の見直しを行なうことができます。
明治生命(現:明治安田生命)が平成12(2000)年に販売を開始して以来、「定期付終身保険」から「利率変動型積立終身保険」へ急速にシフトしました。内容は複雑で、実際に保険を販売している募集人の中で、本当に内容を理解している方は数少ないと思います。見た目は違いますが、「定期付終身保険」と「アカウント型」はほぼ同じ保険と考えた方が分かりやすいです。
保険料は「積立部分」と「保障部分」の2部構成となっています。

主契約:積立部分(アカウント)

毎月の積立保険料が、終身保険の部分になります。
2,000円の積立をしている場合、年間で約24,000円の保険金額となります。この積立部分が薄いのか、厚いのかがポイントになります。
アカウントが薄いというのは、保険料全体に占めるアカウント部分保険料が低比率のことです。一般的にはアカウント部分が2,500円以下だと薄いと判断してください。
アカウントが薄い契約の場合、払込期間終了時の終身保険は50万円から100万円くらいです。

特約:保障部分

毎月の保険料から積立部分を差し引いた保険料が、保障部分になります。
第一保険期間中のみ付加が可能で、積立部分では不足している死亡保障として定期特約を付加したり、医療保障や介護保障をつけたりします。通常は10年満期です。
保障部分は、特約ですので、積立部分と保障部分の一定の割合を満たしていれば、あなたのニーズにあった特約の保障を選ぶことができます。

名前は「終身保険」ですが、終身保険の部分は積立部分にあたりますので、一生涯○万円の死亡保険金がある、という確定は、払込終了時になってみないとわからないということになります。なぜなら、住宅資金や教育資金など、現金が必要になったときは、積立部分から引き出したり、更新時に積立部分を、保障部分に回してしまうこともあるからです。
通常、保障部分は、10年ごとに見直しますが、同じ保障を継続する場合も、積立部分を保障部分に充当することによって、保険料のアップを防ぐことができます。払込期間満了後、終身保険の保険金額が確定している場合、医師の診査なしでその限度額まで終身保険を買う権利があるという意味であり、積立金が不足している場合は、一時金などを投入する必要が生じます。

死亡保険の基本形である、「定期保険」や「終身保険」は、契約時に確定した予定利率でその後もずっと運用されるため、銀行のローンに例えると、“固定金利”に似ています。それゆえ、保険金額、解約返戻金ともに契約時に確定しています。それに対して、「利率変動型積立終身保険」は、金利の変化に基づいて一定期間ごとに見直しますので、積立部分を銀行ローンに例えると、“変動金利”ということになります。金利環境が好転(上昇)したときは、積立利率の上昇が期待でき、積立部分が増加する場合があります。

保険ビギナーには、「積立」と「保障」を分けることをおすすめします。
月数千円の積立の保険に加入するより、積立は預貯金で、不足する部分を保険でまかなう、という加入の仕方がシンプルで、わかりやすいでしょう。
残念ながら、積立部分は、預貯金の積立と比べて、利回りが特によいものとは言えません。 そうであれば、単純に預貯金をするほうが元本割れをする心配もないですし、リスクを伴ってでも増やしたいというあなたは、積立投資信託など、いろんな金融商品にチャレンジしたほうが、高いリターンが得られるはずです。

「終身保険」や「定期付終身保険」にすでに加入されている方で、ライフプランの変更や更新時などに「利率変動型積立終身保険」に転換を提案されている場合は、それぞれの保険のしくみを今一度確認し、安易に見直ししないことをおすすめします。「利率変動型積立終身保険」は、自由に設計できるからこそ、しくみを理解していないとメリットを活かすことができません。なんとなく、融通ききそう、という気軽な気持ちで加入しないようにしましょう。保険はシンプルなものが一番です。

この保険が向いているタイプ

余裕をもって月々保険料を5万円以上出せるタイプ

アカウントが薄い場合、「積立部分」の役割を果たすことができないといえます。
アカウント部分を最低でも2万円以上確保するためには、月々5万円以上は余裕をもってだせる方でないと難しいでしょう。また年齢とともに、確実に収入が増える方でないと、将来保険料が家計を圧迫し、保険貧乏になる可能性がでてきます。

(2005.5.2公開 2015.2.5更新) 

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