- 曽根 省吾
- 株式会社塗装職人 代表
- 神奈川県
- 一級塗装技能士
対象:エクステリア・外構
以下、相談者のご質問です。
外壁塗装で迷ってます・・
大手ハウスメーカーから見積もりをとりました。
大体似たりよったりの金額でした。
水性シリコンセラミックという日本ペイントの塗料での見積もりです(我が家は築19年の木造です)
さて、本日近所で外壁塗装をしている業者から、突然見積もりをさせて欲しいと訪問依頼がありました。
その業者は、テレビCM等でも名前を聞く株式会社の塗装業者でした。
会社より、今月末にテレビでCMを流すので、現在近所で行われている塗装が終わったら、その流れで引き続き塗装をやる家を探せと言われたとの事です。
足場、養生をそのまま引き継ぐので、その分は金額なしと言って来ました。
塗料のランクで数枚見積もりを出してきましたが、前者の水性シリコンではなく、外壁ピークストーンと言う自然石仕上げで(工期14日)モデル工事をしないかとの話でした。
自社ですべて行うので中間マージンが発生しないから水性シリコンも安く出来るが、持ちのいい自然石仕上げでモデル工事しませんかとの話です。
その代り工事も引き続いて行わせて欲しいとの事でした。
急な話で 迷ってしまいました。金額は足場や養生、高圧水洗や諸経費代等々もサービスで見積もりより60万円も値引きしてきましたが 正直どうしたものか悩んでいます・・・
以下、私(曽根)の回答になります。
はじめまして。
かなり日にちが経過していますので、遅い回答になるかもしれませんが、このご質問はこれから外壁塗装を考えていらっしゃる多くの方に、非常に参考になる回答になると思われますので、ご回答させていただきたいと思います。
60万円の値引きは大きいですね。
とても魅力的に感じてしまうと思います。
塗装業界では、このような値引きのケースは昔からよくあることです。
早速ズバリお伝えしますが、1.2割の値引きならまだしも、60万円ほどの値引きの場合は、工事的にかなりのリスクを抱える可能性が非常に高いと言えてしまいます。
その理由として、3つあげておきます。
1. 値引き額が大きい場合、最初に意図的に高い価格を出しておいて、その後一気に値引きしてお得感を演じさせる見積もりである可能性が高いです。
そのように最初に偽った見積もりを提出してくるような業者が、果たして信用に値する業者といえるかどうかと言うことですね。
過去の例からもこのような方法で契約を取るような業者は、やはり工事的な内容にトラブルがすくなくありません。
2. もし最初の見積もりが適正に計算されて出された見積もりでも、60万円の値引きをしたとしたらどこかで手を抜かざるを得ない状況になるのは明らかだと思います。
塗装工事はほかのリフォームに比べて、価格を自由に操作することが比較的簡単にできます。
というのは、塗料を必要以上にうすめたり、重ね塗りをしないなどの、コストを極端におさえた手抜きのような工事でも、見た目は問題なく完了させることができるからです。
外壁塗装のコスト削減
少し前の耐震偽造問題ではありませんが、見た目は素晴らしくても中身は貧弱という具合にです。
耐震偽造は社会問題化しましたが、一般住宅の外壁塗装においても、極端な値引きをする業者の工事の場合は数としては少なくない問題だと思います。
ちなみに工事するうえで、業者側に予算は言わないほうがいいというのは、予算が少ない場合でも、無理をしてもそれに合わせた工事が可能になってしまうからです。
3. 近所で塗装工事が行われていて、そのまま足場と養生(足場のまわりを覆う塗料飛散防止用のネット)をそのまま引き継ぐから、値引きができる理由とはなりません。
素人目からすると、近くで工事しているから安くなると一見思いがちですが、実はたとえ近くでも遠くでも、足場を解体して組み立てるのはまったくおなじ労力です。
近いからといって足場代が安くなることはありません。安くなったとしたら、それは足場材料を運ぶしトラックのガソリン代ぐらいでしょう。
「近くで塗装をしているから、足場代がタダになる」
これは、訪問販売の営業マンが昔からよく使う営業手法のひとつです。
いい工事悪い工事になるかは別として、話にうそがある以上信用できる業者としては選択肢に入らないのではないでしょうか。
外壁塗装業者の探し方
また、「モデル工事」についてです。
モデルハウスではありませんが、要するに外壁塗装のモデルにならないかということだと思います。
外壁塗装のモデルとしてその分値引きするというわけです。
今回の場合業者が本当にモデルにするのかどうかの真意は分りかねますが、これも一昔前によく使われた営業手法だということを付け加えたいと思います。
もちろんこの場合も最初の見積もりは意図的に高く出しておいて、ただ単純に値引きするといって不信感をもたれるよりは、「モデルをすれば安くなる」といったほうが、信憑性があるためこのように理由付けをしていることが多いようです。
そして最後に、自社ですべて行うので「中間マージンが発生しない」とのことですが、私の経験を元に補足させていただきたいと思います。
自社施工というのは、一般に下請けではなく、職人を社員(従業員)として抱えて工事することを指します。
なぜ、下請けだとダメなのでしょうか?
それは、下請け業者にトコトン抑えた予算で仕事を請けさせるために、結局工事に不具合を生じさせてしまうためです。
塗装業界では、赤字ギリギリのラインの予算で工事を請け負わす会社はすくなくありません。
これはあくまでも私の経験上ですが、宣伝力が強い大手の塗装会社であるほどその傾向が強いです。
だから多くの業者が「うちは下請けを使わない自社施工です。」とアピールしているのです。
ただし、ここで注意をしてもらいたいのが、たとえその会社が下請けをつかわない本当に自社施工の業者だとしても、ギリギリまでコストを下げて利益ばかりを大きい工事をすれば、いくら「中間マージン」が発生しないといっても、結局は同じことになるということです。
また、下請けを使わないだけが自社施工ではないという意見もあります。
足場を組んだだけ、水洗いをしただけ、監督をしただけで、あとのすべてを下請けにまかせたとしても、「自社施工」と呼ぶ場合もあるので、業者それぞれ捕らえ方が異なる場合もあります。
外壁塗装の業者選びは大変です。
とくに訪問販売業者の場合、考えさせる暇も与えられないまま、急ぎで契約させられてしまうことが少なくありません。
最近では、誰もが悪質リフォーム問題で慎重になっているとは思うのですが、ご相談からすると訪問販売業者の典型的なおいしい話ばかりが先行してはなしが進んで言っているような気がします。
もう一度冷静になられて、60万円の値引きだけにとらわれず、以上の回答をぜひ参考にしていただければと思います。
以上、下記のサイトもご参考ください。
神奈川県の外壁塗装業者
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