- 川尻 秀道
- ラウンジグループ株式会社 代表取締役兼CEO
- 東京都
- MBA留学と起業のプロ
ITを始めとするソーシャルメディアの発達により、昨今は一昔前とは比べ物にならないほど速いスピードで社会が動いています。それはMBAプログラムを提供するビジネススクールでも言えることです。ビジネススクールのカリキュラム等を見ていると、数年前とは比べ物にならないくらい速いスピードでその変革が進んでいることが分かります。
最近のビジネススクールの主な変革は以下の3つがあります。
◆オンラインクラスの増加
現在では、多くのビジネススクールでオンラインによるMBAプログラムが提供されています。もはやビジネススクールの学生はキャンパスに通い、教室でクラスメートと共に教授の話を聞く、というスタイルだけでは無くなってきているのです。ビジネススクールに通うことなく、自宅からMBAの授業を受講し、そして同じ講義のクラスメートも国内だけではなく世界各国様々なところで一斉に同じ講義を聞いている、ということが現実的になってきています。
日本でも、経営コンサルタントの大前研一氏が監修しているオーストラリアのボンド大学大学院ビジネススクールや国際資格のアビタスが提供するアメリカのマサチューセッツ大学などのMBAはオンラインで受講可能となっています。
イノベーション学の重鎮であるハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授は、 2019年までにはアメリカの50%以上の高校でオンラインによる授業が行われるであろう、と予測しています。それほどここ数年は、教育のオンライン化がますます進んでいくだろうと考えられます。
オンラインによる授業の増加は、MBAに非常に大きな変化をもたらすことになるでしょう。
MBAは学費が高額で、時間がとてもかかるプログラムです。MBAフルタイムの学生は、その高額な学費、現地での生活費、 MBA履修期間中の収入ゼロという金銭的に大きな犠牲を払ってMBAに挑戦しています。それがエリートになるための道であると信じられてきました。しかしMBAによるオンラインクラスの出現により、今ではそのような制限も徐々に無くなってきていると言えます。
オンラインによるMBAプログラムは、忙しいビジネスマンにとって、働きながらMBAを取得できるというところが一番の魅力でしょう。キャリアを中断することなく、MBAの質の高い授業を受けられることで、キャリアとMBAの取得の両方を同時進行で行うことができます。
◆ベンチャー向け起業家育成のプログラム増加
MBAの学生はMBA取得後に、 大企業の経営幹部を目指すか、自らが起業して会社を立ち上げるかが、主なMBA取得後のキャリアでしょう。
最近のビジネススクールでは、ニューベンチャービジネスを立ち上げるクラスが増加しているようです。 社会の変化が従来に比べとても激しくなってきている昨今、毎年多くの企業や事業が閉鎖され、毎年それと同じくらいの数の会社や事業が誕生しています。そんな弱肉強食の社会では、 MBAホルダーはニューベンチャービジネスを立ち上げ、自らの力で生き残る術を学んでいく必要があるのです。そのため、MBAプログラムではニューベンチャーを立ち上げる力を身につける科目が増えています。
企業で経営幹部を目指すには、出世街道を駆け上がり上司や同僚に大きな影響を与え、社内で高いパフォーマンスを上げていく必要があります。かつては、ニューベンチャーとは無縁のサラリーマン生活を送る人が大半であったと思います。しかしながら、今後は大企業の経営幹部を目指す学生であっても、社内でのニューベンチャーなどの案件に関わる事が多くなってくるでしょう。
大きな企業で、潤沢な資金を使って、優秀な人材ばかりのチームであれば、当然のことながら、成功する確率は高くなります。しかしながら、ニューベンチャーを立ち上げる際は、潤沢な資金と、優秀な人材が揃っているとは限りません。少ない費用と限られた人材を元手にして少しずつ事業を大きくしていくためのリーダーシップが必要になってくるのです。
◆MBA科目の細分化
最近のビジネススクールでは、大学教授による授業だけではなく、各業界のエクスパートによるゲストレクチャーラーのクラスが非常に多くなってきています。つまり業界や専門ごとにMBAのカリキュラム自体が細かく分かれてきているのです。
たとえばマーケティングの科目を例に取りますと、かつてはマーケティングと言えばマーケティング単一の科目でしたが、今ではIT業界のマーケティングの科目、消費者財のマーケティングの科目、非営利団体のマーケティングの科目、など細かくカリキュラムが分類されています。消費者のニーズも、従来に比べだんだんと細分化してきているのです。ターゲットとする顧客の要求にドンピシャで答えていくためには、細分化したマーケティング戦略が必要となってくるのです。
このように、学生が自分のキャリアに応じて履修する科目を選択していき、自分だけのオンリーワンの組み合わせでMBAの科目を履修できるようになってきているといえます。
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