- 小林 裕美子
- ストゥーディオ ステラ 一級建築士事務所
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
前項ではリニューアルの有利な点をお話しましたが、今回は新築した
方がベターかもしれないと言う例をお話します。
古い家に対する思い入れは個人個人で違いますのでそれは一先ず置いて、
ここでは対費用効果の点でお話します。
特に古い家から新しい家に望む変更点が多い場合は、新築の方が有利
かも知れません。
例えば小さい部屋が沢山あったのを少数の広い部屋にして、お風呂や
キッチンなどの水周りの配置を全く別の場所に移して・・・などの場合です。
勿論リニューアルでたいていの事は出来ます。でも、余りに多い変更は
リニューアルでは残す部分と新しくする部分が複雑に入り混じって、
施工手間=費用が掛かり過ぎることになります。
リニューアルした家に、家の古さに合う憧れの猫足バスタブを入れました
また、古い家がツーバイフォーなどのプレハブ壁構造の場合も、新築の方が
良い場合が多いと思います。壁構造は構造自体を壁でもたせているので、
間仕切りを変えたり広い部屋にした場合、壁以外の材料で新たに構造
補強しなければなりません。
柱を建てるにも、床をはがして基礎を作らなければ補強出来ませんし、
そうすれば床も新しくしなければならなくて、とても費用が掛かります。
それでも最初の構造計算のバランスはどうしても崩れますから、
費用の割りに家としての強度は今一と言う事にもなりかねません。
また前項でも触れた様に、余りにも長い間手入れもせずに放っておいた家、
特に木造の場合は、リニューアルで新しい材料に交換する部材が多すぎて、
新築の方が安価になりがちです。
この様な場合は、古い家は使い切ったと思って新築することをお勧めします。
新築のメリットは、ゼロからのスタートですからどんな希望も実現できる点、
最新の技術を駆使できる点、そして上記のようなケースではリニューアルと
同じか多少安価で建築できる点でしょう。