- 石崎 公子
- travessia 代表
- 東京都
- ヒキダシスト/Comunication Specialist
対象:老後・セカンドライフ
今や140万部も売れているという大ベストセラー、「置かれた場所で咲きなさい」を書いた、ノートルダム清心学園理事長の渡辺和子さんがテレビで話しているのを見た。
実際にお話をするご様子を私自身が見るのは初めて。「人間ですもの、私だってイライラすることだってありますよ。」と苦笑しながら話されるご様子はなんとチャーミング!最近のシスターにはチャーミングな方が多いような気がしてならない。あくまでも個人的感想なのだが(笑)。私自身の中学高校がキリスト教のプロテスタントだったせいか、若い頃からどうもカトリックは厳しい、ちょっと怖い、慎ましやか、なんとなく緊張する、というイメージを抱いていたのだが、ここ数年で私の中のイメージが大きく変わりつつある。私自身が厳粛で慎ましやかな清楚な女性に近づいてきたとか似てきたとかいうわけはないので、シスターに対する昔のイメージは私の思い込みだったのか、それともチャーミングな部分を私が見ようとしなかったのか、あるいは実際にそういう素敵な人が増えているのか。
さて、今87歳でいらっしゃるという渡辺和子さんへの「これからの夢は?」という質問に対しての答えが、益々素敵だった。「財産になるような年をとること」そして、大事なことは自分を見捨てないことだそうだ。
年を重ねることは残酷だ。自分自身の肉体も、皮膚のハリや艶も、現実には時間の経過は容赦ない。それだけでなく、環境だって冷たいくなることもある。それでも、経験や知識、人とのつながりのおかげで、年をとるのも悪くない、楽しいこともあると思えることが、ときどきある。それを「財産」と表現したところが素敵だと私は思った。
渡辺和子さんのお知り合いで、「私から年を取らないでください。」と言った人がいるそうだ。一つづつ年を重ねることを肯定的に捉えられているからこそ、の言葉だ。丁寧に一つづつ、年を重ねていくことの価値を、かみしめたくなるような思いだ。
「今日より若い日は来ないのだから。」と笑うシスター、渡辺和子さんの穏やかな表情を見て、テレビの前で元気をもらった人は多かったに違いない。
そうは言っても、いくら綺麗事を言っても、肯定的に年を重ねたいと思う私と、もう年なんかとりたくないと思う私の両方が、残念ながら私の中には同居し、どうしてもあれこれ思う現実があるのも否定はできないのだが、それでも私が私自身を見捨てることなく、財産となるような年を重ねたいと改めて切に思うのである。
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