
- 前田 紳詞
- 代表取締役
- ファイナンシャルプランナー
対象:お金と資産の運用
BRICsの1つ
先日、ご相談を受けた方はブラジルのレアル建債券投資についてでした。
金融機関から金利が10%以上の高利回り債券を勧められていました。
しかしブラジルの経済情勢がどうかわからないため不安になり相談されたのです。
ブラジルはBRICsという新興国の1つです。
BRICsの中でも中国やインドが先に成長拡大が始まり、それに合わせて株価も上昇していきました。
その後、石油や天然ガス価格の高騰から資源国であるロシアが成長路線に入りました。
そして最後に出てきたのがブラジルです。
日本人の持つブラジルへのイメージ
日本人にとってブラジルとは、日本の工場で働く”日系ブラジル人”の方々をイメージする方も多いでしょう。
ブラジルの人達がいなければ日本国内に存在する工場は動かなくなります。トヨタやホンダの部品メーカーや下請け工場では作業者の大半がブラジルの人達です。
ブラジルはここ最近、急速に経済が発展し始めました。
ブラジルには豊富な資源や食料があり現在のような資源や食料価格が値上がりしている状況ではブラジル経済に追い風が吹いています。
世界ではインフレが問題になっておりブラジルのインフレ率もかなり高く上昇しています。
しかし、かつて2000%のインフレを克服したブラジルにとっては他国ほど危機的な問題ではないでしょう。
かつての異常なインフレの原因は石油などの輸入による外貨支払い、他国からの借金財政が原因でした。
この克服のため、ブラジルではガソリンの代替燃料としてサトウキビからバイオエタノール燃料を作りそれで国内の車を走らせています。
国の財政も引き締め、対外債務の削減に努めてきました。
その結果、国内景気は落ち込み、海外への出稼ぎ者を生み出すことになり、治安も悪化しました。
私は10年以上前、アルゼンチンからブラジルへ入国しました。街の雰囲気がガラリと変わったことを強く覚えています。ブラジルに入るとすぐに治安の悪さを肌で感じ取りました。
現在も治安はまだ悪いようですが、他国からの借金、すなわち対外債務については今年3月、大きな変化がありました。
債務国から債権国へ転換
今年3月借金が多い債務国から貸し出しの多い債権国へ転換しました。
それに合わせてブラジルの通貨レアルも米ドルに対して強くなっています。
産業としても自動車と航空機産業が活発です。
特に航空機産業は中小型機分野ではブラジルのエンブラエルという会社がトップクラスです。
最近では埋蔵量で世界トップクラスかもしれない海底油田も発見され、話題が尽きません。
これだけブラジル国内経済が活性化していくと、日本からブラジルへ働きに来る人が減り、更に日本からブラジルに帰る人達が増えるのではないかと思います。
そうすると日本の工場が人手不足で空洞化する恐れがあります。
投資の注意点
このようにブラジルの将来は明るい感じがします。ただ投資で注意しなければいけないのは
1)ブラジルの経済情報は日本で入手しずらい。
2)全て、過去や今の話であり、将来も継続するかどうかは不明。
3)ブラジルレアルは国際的な取引通貨ではない。
などがあります。
去年末、インドやベトナムが投資ブームになりました。その時、投資をした人達は資産価値が3割から5割減になっています。
多くの人達、特にベトナムに投資をした人達はベトナム経済の情報が入りにくいため、知らない間に資産価値が下がってしまった方がかなり多いようです。
ブラジルについても投資をするならば定期的に現地の情報を知る必要があるでしょう。
その場合は、JETOROやアジア経済研究所などの資料を見るとよいでしょう。
こういったリスクを踏まえ投資対象としては分散投資の一環として全資産の5〜10%ぐらいを投資してはいかがでしょうか。