3月29日(土)に中部打楽器協会主催の新人演奏会が名古屋音楽大学めいおんホールにて開催されました。
名古屋周辺の音楽大学や中部打楽器協会に縁がある音大卒業生が出演し、例年よりも多い8名の方が演奏されました。
ジョリベの協奏曲や石井真木のサーティーン・ドラムスのような定番のものからベネットのアフター・シリンクスⅡのような新しい楽曲があり、演奏会自体のプログラミングにも緩急がつけられていたこともあり大変興味深く拝聴することができました。
持ち時間が一人25分となっていましたのでジョリベ「打楽器協奏曲」やテーリヒェン「ティンパニ協奏曲」ならば全楽章を演奏することができます。
大学の定期試験や各種の新人演奏会では時間の関係上、組曲の中から1曲ないし数曲という制約がどうしてもでてきてしまいますが、今回の持ち時間をいただけるのならば組曲なら全曲演奏することができます。
協奏曲では「緩・急・緩」という構成のものが多く、協奏曲も含め組曲を全曲演奏できるというのは大変勉強になります。
曲全体を俯瞰して見ることができる力を身につけることはソロだけでなく少人数から大編成までアンサンブルをする上でも必ずプラスになると思うのです。
今回はこの2曲を全楽章された方々がおり、曲全体としての構成と1つの楽章内での音楽作りがしっかりしていた好演が光りました。
マリンバでの演奏者は4名でした。
独奏楽器として確立してきた感のあるマリンバという楽器、レパートリーも年々増え演奏する側からすれば演奏したい曲があるのがたくさんあるのも悩みの種でもあるでしょう。
独奏用の楽曲を生み出すには作曲者の近くに優れた演奏者がいるということが大切です。それはハイドンやベートーヴェンの時代から変わらずして。
プレイヤーからの委嘱ならばそのプレイヤーの特徴を理解し楽器を研究するなど様々なバックグラウンドを蓄積させた上で作曲者自身の個性を楽曲で表現します。
もちろん上記のことだけではなくもっともっと多くのことが音楽に練りこまれていますが。
初めて聴く楽曲もありましたが曲だけでなく体の使い方やマレットのコントロールなど新しい技術を見ることができたことも収穫の一つです。
楽曲ごとでも個性の違いがよくわかりましたし、演奏者の表現力にも個性が見られ良い演奏だったと思いました。
若い演奏者は技術面に偏りがちと言われますが、テクニックを身につけるには学生のような恵まれた環境の中にいるうちに身につけてほしいを思います。
卒業してしまうと大変ですから、打楽器は。
この日の演奏の結果、東京で行われる日本打楽器協会主催の新人演奏会には加藤史也さん(打楽器)と中村由紀子さんが、中部打楽器協会パーカッションフェスティバルには林千景さん(マリンバ)が推薦されました。
このコラムの執筆専門家
- 成澤 利幸
- (長野県 / 音楽家、打楽器奏者)
- 成澤打楽器音楽教室
音楽はみんなのもの
楽器の演奏は専門家からのちょっとしたアドバイスによりスムーズに上達したり音楽の奥深さに触れることがあります。ドラムやマリンバ、いろいろな打楽器のレッスンを通して皆さんのお力になれればと思います。
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