北村喜宣『環境法』 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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閲覧数順 2017年10月23日更新

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環境法 第2版/弘文堂
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北村喜宣『環境法』

弘文堂、2013年、本文600頁。

環境法の最新テキストである。初版が2011年刊行である。第2版では、その後の法改正が追加されているが、法改正前の部分が現在形の記述となっており、継ぎ足しで書かれたと思われる部分と矛盾がみられる。

また、本文で説明されていない事項が図表の中でしか記載されていないことも多いので、要注意である。

上記書籍のうち、以下の部分を読みました。

「第8章 環境基本法」

 環境法の基本理念、すなわち、環境の保全、ひいては国民の健康で文化的な生活の確保を目的とすること等を定めている。

 環境法の基本計画を策定すべきことを定めている。

 裁判例は、環境基本法の条文から具体的な法的拘束力がただちに生じることはないと解している。

「第9章 循環基本法」

 廃棄物処分より、リサイクルを優先させる考え方を基本理念とする。

 拡大生産者責任の考え方が取られている。すなわち、リサイクル・処分の責任を、消費者や自治体から生産者にシフトさせるものである。

 これを受けて、個別法として、容器包装リサイクル法、家電製品リサイクル法、自動車リサイクル法などがある。

「第10章 環境影響評価法」

環境アセスメントを定めている法律である。

手続として、事業に内容をよく知る事業者の負担でのアセスメント手続、実体規制として行政による環境配慮審査を定めている。

実施方法書の事前手続(「計画段階環境配慮書」で複数の案の比較検討を義務づけている)

「実施方法書」手続

「準備書」手続(代替案がある場合には、記載を義務付けている)

「評価書」手続

「報告書」手続

この間、行政庁による審査・報告・公表、地方自治体への求意見、住民の意見の聴取がある。

その後は、個別法による許認可

なお、同書で、事業者による事業決定が既決事項と表現しているのは、不適当な表現と思われる。環境影響評価法は、いわば個別の環境法の事前手続と位置づけられており、アセスメントを実施していない場合には、そもそも許認可申請できず、申請しても不受理とされる。または、環境アセスメントを実施し、不適切な場合・不適当な方法の場合、再考させたり、最終的には不許可とすることで、事業を開始させないこと、あるいは方法・場所・態様などを変更させたりすることができる。または、事後の司法審査で事業の許可が取消される場合もある(例えば、小田急線高架事業取消訴訟第1審判決。ただし、控訴審で第1審判決は破棄され、上告審でも控訴審の判断は基本的に維持された)。

環境影響評価法が適用されないのは、都市計画法または港湾法が適用される場合である。

第1種事業(2条2項)は、環境アセスメントが当然に必要とされている。一定規模以上の道路、ダム、鉄道、飛行場(空港)、発電所、埋立・干拓、土地区画整理、産業廃棄物処理施設などである。

 第2種事業(2条3項)は、第1種事業に準じる規模として、施行令5条で定めている場合(形式要件)、または、環境に影響を与えるおそれがある場合(2条4項、実体要件)。環境アセスメントが必要とされている。

「第11章 水質汚濁防止法」

 水質汚濁防止法の対象は、一定規模以上の特定施設である工場・事業場(例えば、旅館業、ガソリンスタンド、畜産業など)の排水等、生活排水の規制である。

 命令の名宛人が汚染原因者である。この点が、土壌汚染対策法と異なる。

 地下水が汚染された場合、飲料水にもなるため、人への健康被害がより直接的である水質汚濁防止法がまず適用され、土壌汚染対策法も適用される。

 無過失損害賠償責任の特別規定がある。

「第12章 大気汚染防止法」

 特別法として、ダイオキシン法、アスベスト救済法がある。

 大気汚染防止法の対象は、一定規模以上の特定の大気汚染する排出物質(ばい煙、揮発性有機化合物、粉じん)の施設である工場・事業場、自動車排ガスの規制である。

 無過失損害賠償責任の特別規定がある。

 自動車道路に対しては、国家賠償法、民法717条が適用される。

「第13章 土壌汚染対策法」

土壌汚染対策法の土地所有者等の汚染除去等の義務が無過失責任であることが厳格にすぎると主張しているが、本法のモデルになったアメリカのスーパーファンド法への言及がない。

不動産登記簿で調べても土地所有者が判明せず、命令を下せないとの記述があるが、行政法の一般原則として、命令の名宛人は登記簿上の所有者に対して下せばよいであろう。ただし、例外的に、土地登記簿上の取引行為につき課税処分の重大性のみ(処分の明白かつ重大性を要件とせずに)を理由として、処分を無効とした最高裁判決がある。

「第14章 廃棄物の処理及び清掃に関する法律」

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の前身は清掃法である。

なお、同法は、産廃法と略されることもあるが、一般廃棄物に関する規定も含んでいるので、正確な略称ではない。通常の略称は、廃掃法である。

原則規定は、一般廃棄物の箇所にあり、産業廃棄物に準用されているので、この法律を読むときは注意が必要である。

廃棄物には、以下の6種類がある。

一般廃棄物、

特別管理一般廃棄物(例えば、廃パソコン、自動二輪車など)、

産業廃棄物、

特別管理産業廃棄物、

事業系一般廃棄物、

事業系特別管理廃棄物

上記のうち、特別管理に該当するのは、爆発性、毒性、感染性がある場合である。

なお、建設残土、気体状物質、放射性物質(原子炉等規制法、放射性物質対策特別措置)については、別の法律が適用される。

一般廃棄物の処理責任は市町村(東京都の場合には特別区)にあり、産業廃棄物と異なる。

産業廃棄物処理業の許可は、収集・運搬や産業廃棄物処理施設を保有していることが前提となっているので、対人許可+対物許可である。行政法でいう警察許可として、羈束裁量と考えるべきとされる。

産業廃棄物処理施設は、基準を守っていることが前提とされているが、現実には種々の弊害(例えば、施設から有毒な水・物質が浸出したことなど)が生じたことから、効果裁量と考えるべきとされる。

産業廃棄物処理業の許可は義務的取消であり、環境法の中では異例である。ただし、連鎖的取消とならないように法改正で対応された。

特定産業廃棄物除去特別措置法は、除去費用の支援により、過去に不法投棄された産業廃棄物の除去を定めている。