Blog201403-4、金融商品取引法(判例百選-2) - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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Blog201403-4、金融商品取引法(判例百選-2)

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金融商品取引法判例百選 (別冊ジュリスト 214)/有斐閣
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Blog201403-4、金融商品取引法(判例百選-2)

・証券取引所の受託契約準則
・金融商品取引法の委託証拠金
・投資者保護基金
・未公開有価証券の販売、無登録業者と金融商品取引法、不法行為責任


◎証券取引所の受託契約準則
 金融商品取引法133条は、金融商品取引所が受託契約準則を定めなければならないとしている。
なお、「会員等」とは、金融商品取引所の会員・取引参加者である金融商品取引業者等である。
(受託契約準則及びその記載事項)
金融商品取引法第百三十三条  会員等は、取引所金融商品市場における有価証券の売買又は市場デリバティブ取引(有価証券等清算取次ぎを除く。)の受託については、その所属する金融商品取引所の定める受託契約準則によらなければならない。
2  金融商品取引所は、その受託契約準則において、その開設する取引所金融商品市場ごとに、当該取引所金融商品市場における次に掲げる事項に関する細則を定めなければならない。
一  有価証券の売買又は市場デリバティブ取引の受託の条件
二  有価証券の売買又は市場デリバティブ取引の受渡しその他の決済方法
三  有価証券の売買の受託についての信用の供与に関する事項
四  前三号に掲げる事項のほか、有価証券の売買又は市場デリバティブ取引の受託に関し必要な事項

 受託契約準則は、以下の場合に、内閣総理大臣が関与し、金融商品取引の適正を確保する。
1、 金融商品取引所の免許申請時(金融商品取引法82条1項1号)
2、 受託契約準則の変更時(149条1項)
3、 内閣総理大臣が金融商品取引所に対して行う監督処分のとき(152条1項1号)
4、 業務改善命令のとき(153条)

最高裁判所第3小法廷判決昭和37年2月6日、裁判集民事58号513頁、商事法務248号477頁、『金融商品取引法判例百選』63事件
証券取引所の定める受託契約準則は普通契約約款の一種に属する。取引所の会員たる証券業者と顧客との間の株式売買委託契約については、当事者間に別段の特約がない限り、証券取引所の定める受託契約準則に従って契約したものと認めるべきである。
その理由は以下のとおりである。受託契約準則は旧・証券取引法130条に基き証券取引所が設立に際し制定する取引所会員と受託者間の委託売買取引に関する細則を定めたもので〔その制定には大蔵大臣の免許、その変更にはその認可を要する〕あって、いわゆる普通契約約款の一種に属するものと解すべく、普通契約約款の支配する取引においては当事者間に別段の特約のないかぎり当事者がたとえ約款内容を具体的に了知しなくとも当該約款によって契約したものと認められるべき効力を生ずるものであり、本件受託契約準則もまた同様のものと解すべきである。それゆえ原判決が「特段の反証なき限り証券業者と顧客との間の株式売買委託の信用取引については……受託契約準則による意思を有していたと認めるべきであり……」と判示したのは相当である。準則はこれに準拠する積極的意思が認められない場合でも原則として当事者間に効力を生ずる。

 なお、商品取引所法に基づく受託契約準則について、最高裁昭和44・2・13民集23巻2号236頁は、準則は、当事者間に特段の約定がない限り、商品仲買人と委託者を拘束し、準則が改正された後の準則は、改正後の売買取引の委託について、委託者をも拘束すると判示している。

最高裁判所第1小法廷昭和49年4月25日、裁判集民事111号599頁、金融法務事情720号32頁、損害賠償請求事件、金融商品取引法判例百選65事件
【判決要旨】
一、(当時の)東京証券取引所受託契約準則5条の法的性質は、訓示規定と解すべきである。
二、顧客の買付代金不払いの売買、証券取引所会員の反対売買による決済義務はない。すなわち、顧客が所定の時限までに買付代金を東京証券取引所会員に交付しない場合、会員は、(当時の)東京証券取引法所受託契約準則13条の9により、顧客の計算において買付け証券を売却して買付け代金に充当する権限を有するが、直ちに買付証券を売却すべき義務を負わない。

 旧・証券取引法130条は、証券取引所に対し受託契約準則(以下、準則という)の制定を命じ、かつ、その会員に対しては、有価証券市場における売買取引の受託は、当該会員の所属する証券取引所の定める準則によるべきものとしている。
この準則は、普通契約約款であり、顧客を拘束する効力を有すると解されている(最高裁判所第3小法廷判決昭和37年2月6日、裁判集民事58号513頁、商事法務248号477頁、『金融商品取引法判例百選』63事件)。すなわち、証券取引所の定める受託契約準則は普通契約約款の一種に属する。取引所の会員たる証券業者と顧客との間の株式売買委託契約については、当事者間に別段の特約がない限り、証券取引所の定める受託契約準則に従って契約したものと認めるべきである。
通説も同旨である(鈴木『証券取引法』246頁、大原『証券・商品取引判例百選』26頁など)。
しかし、準則に違反する売買取引委託は直ちに無効であるとはいえないであろう。
なお、商品取引所の受託契約準則に違反する商品取引受託契約は無効ではないと解されている(最判昭和40・5・4裁判集民事79号39頁)。
当時の東京証券取引所受託契約準則5条は「電話又は電信によって売買取引の委託を受けようとする会員は、誤報・誤認によって生じる損失について予め顧客と書面により契約し、その写を取引所に提出しなければならない。」と定めていた。
当時の東京証券取引所受託契約準則5条は、実際にも遵守されていなかったとされている(鈴木・前掲250頁)。判旨一は正当であろう。
 判旨二について。
当時の東京証券取引所受託契約準則13条の9は、委託者の受渡不履行の場合における会員(証券会社)の自動売却権(反対売買権)を認めたものであるが、①これが義務であるかどうか、また、②権利行使の方法について、担当の期間を定めて催告することを要するか等につき問題のあったところである(野尻『証券・商品取引判例百選』149頁)。
本判決は、①の点については、反対売買が会員の義務でないとし、通説(鈴木・前掲255頁、河本ほか『証券取引の実務相談』187頁[神崎]、近藤『株式取引に関する研究』88頁等)および従来の判例(大判昭和7・9・13新報304号13頁等)の立場をとることを明らかにしたものである。
なお、商品取引につき同旨の判例がある(最判昭和43・2・20民集22巻2号257頁)。
また、本判決は、②の点につき、催告の要否については直接判示していないが、権利行使の時期につき、会員が、信義則上一定の義務を負うものであることを判示している点は、留意すべきであろう。


◎金融商品取引法の委託証拠金
「取引証拠金」とは、金融商品取引所または金融商品取引清算機関が会員等、委託者、取次者、申込者から預託を受けなければならないものである(金融商品取引法119条1項)。
「会員等」とは、金融商品取引所の会員・取引参加者である金融商品取引業者等である。
委託者とは、会員等に対して市場デリバティブ取引を委託した者であって、取次者ではないものである。
取次者とは、会員等に対する市場デリバティブ取引の委託の取次を受けた者である。
申込者とは、会員等が取次者から受託した市場デリバティブ取引の委託の取次の申込みをした者である。
「取次証拠金」(同条2項)とは、取次者が市場デリバティブ取引の委託の取次の引受けについて申込者から預託を受けることができるものである。
「委託証拠金」(同条3項)とは、会員等が市場デリバティブ取引の受託について委託者または取次者、申込者から預託を受けることができるものである。

(取引証拠金の預託)
金融商品取引法第百十九条  金融商品取引所(その取引所金融商品市場における市場デリバティブ取引(内閣総理大臣の定めるものを除く。以下この条において同じ。)の全部又は一部に関し、他の金融商品取引清算機関に金融商品債務引受業を行わせる旨を定款で定めた場合にあっては、当該市場デリバティブ取引について金融商品債務引受業を行う金融商品取引清算機関。第四項において同じ。)は、市場デリバティブ取引について、内閣府令で定めるところにより、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者から、「取引証拠金」の預託を受けなければならない。
一  会員等が自己の計算において市場デリバティブ取引を行う場合又は会員等がその受託した市場デリバティブ取引を第三項の規定に基づき委託証拠金の預託を受けて行う場合 当該会員等
二  会員等がその受託した市場デリバティブ取引(会員等に対する市場デリバティブ取引の委託の取次ぎを引き受けた者(以下この条において「取次者」という。)から受託した当該市場デリバティブ取引(以下この条において「取次市場デリバティブ取引」という。)を除く。以下この号において同じ。)を行う場合(前号に掲げる場合を除く。) 当該市場デリバティブ取引の委託者(会員等に対して市場デリバティブ取引を委託した者であって取次者でないものをいう。第三項において同じ。)
三  会員等が、次項の規定に基づき取次証拠金の預託を受けている取次者から受託した取次市場デリバティブ取引を行う場合(第一号に掲げる場合を除く。) 当該取次者
四  会員等が取次市場デリバティブ取引を行う場合(第一号及び前号に掲げる場合を除く。) 当該取次市場デリバティブ取引の委託の取次ぎの申込みをした者(以下この条において「申込者」という。)
2  取次者は、市場デリバティブ取引の委託の取次ぎの引受けについて、内閣府令で定めるところにより、申込者に、当該取次者に「取次証拠金」を預託させることができる。
3  会員等は、市場デリバティブ取引の受託について、内閣府令で定めるところにより、委託者又は取次者(当該市場デリバティブ取引が、前項の規定に基づく取次証拠金の預託を申込者から受けていない取次者から受託した取次市場デリバティブ取引である場合にあっては、申込者)に、当該会員等に「委託証拠金」を預託させることができる。
4  金融商品取引所は、内閣府令で定めるところにより、第一項の規定に基づき預託を受けた取引証拠金を管理しなければならない。
5  第一項の「取引証拠金」、第二項の「取次証拠金」及び第三項の「委託証拠金」は、内閣府令で定めるところにより、有価証券その他内閣府令で定めるものをもって充てることができる。
6  第百十五条第一項の規定は、第一項の取引証拠金(内閣府令で定めるものに限る。)について準用する。この場合において、同条第一項中「有価証券の売買又は市場デリバティブ取引」とあるのは、「市場デリバティブ取引」と読み替えるものとする。

(分別管理)金融商品取引法第四十三条の二
 金融商品取引業者等は、①第百十九条の規定により金融商品取引業者等が顧客から預託を受けた有価証券(有価証券関連デリバティブ取引に関して預託を受けたものに限る。)又は第百六十一条の二の規定により金融商品取引業者が顧客から預託を受けた有価証券、②  有価証券関連業又は有価証券関連業に付随する業務として内閣府令で定めるものに係る取引(店頭デリバティブ取引に該当するもの(有価証券関連業を行う金融商品取引業者であって第一種金融商品取引業を行うことにつき第二十九条の登録を受けた者を相手方として行う取引その他の取引の相手方の特性を勘案して内閣府令で定めるものに限る。)その他政令で定める取引を除く。次項第二号及び第七十九条の二十において「対象有価証券関連取引」という。)に関し、顧客の計算において金融商品取引業者等が占有する有価証券又は金融商品取引業者等が顧客から預託を受けた有価証券(前号に掲げる有価証券、契約により金融商品取引業者等が消費できる有価証券その他政令で定める有価証券を除く。)(次項の規定により管理する有価証券を除く。)を、確実にかつ整然と管理する方法として内閣府令で定める方法により、自己の固有財産と分別して管理しなければならない(金融商品取引法43条の2第1項)。
 金融商品取引業者等は、次に掲げる金銭又は有価証券について、当該金融商品取引業者等が金融商品取引業(登録金融機関業務を含む。)を廃止した場合その他金融商品取引業を行わないこととなった場合に顧客に返還すべき額として内閣府令で定めるところにより算定したものに相当する金銭を、自己の固有財産と分別して管理し、内閣府令で定めるところにより、当該金融商品取引業者等が金融商品取引業を廃止した場合その他金融商品取引業を行わないこととなった場合に顧客に返還すべき額に相当する金銭を管理することを目的として、国内において、信託会社等に信託をしなければならない(43条の2第2項)。
一  第百十九条の規定により金融商品取引業者等が顧客から預託を受けた金銭(有価証券関連デリバティブ取引に関して預託を受けたものに限る。)又は第百六十一条の二の規定により金融商品取引業者が顧客から預託を受けた金銭
二  対象有価証券関連取引に関し、顧客の計算に属する金銭又は金融商品取引業者等が顧客から預託を受けた金銭(前号に掲げる金銭を除く。)
三  前項各号に掲げる有価証券のうち、第四十三条の四第一項の規定により担保に供されたもの
 金融商品取引業者は、前二項の規定による管理の状況について、内閣府令で定めるところにより、定期に、公認会計士(公認会計士法 第十六条の二第五項 に規定する外国公認会計士を含む。第百九十三条の二及び第百九十三条の三において同じ。)又は監査法人の監査を受けなければならない(43条の2第3項)。

最高裁判所第1小法廷判決昭和40年4月22日、民集19巻3号703頁
値合金請求事件、金融商品取引法判例百選67事件
【判決要旨】 旧・証券取引法第49条に違反して委託証拠金なしに信用取引により株式が売買されても、委託証拠金は証券業者の債権担保目的のものであるから、右違反は、証券業者と委託者との間の契約の効力は有効である。
【参照条文】 民法91条、商法552条、旧・証券取引法49条
 当然の結論と思われるが、最高裁としては、初めての判決である。
 証券取引法(昭和23年法律25号)の制定とともに、いわゆる証券の民主化・大衆化が進み、一般大衆も株式相場に関係を持つことが多くなった。このような一般大衆を投資家として保護する必要がある。
 旧法の下でも、いわゆる委託証拠金があり、これについては、仲買人(証券業者)が委託者に対して有することあるべき債権を担保するためのものと考えられ(たとえば、大審院判大正4年11月20日民録21輯1925頁、大審院判明治40年10月8日法律新聞459号12頁など)、学説もこれを支持していた(田中耕太郎『取引所法』新法学全集)57頁、松本信次『株式取引所論』278頁など)。
ただし、証券取引法では、信用取引による委託証拠金の預託を法令で証券業者に義務づけている。したがって、一般投資家の保護に徹すると、投資家に不当な損害を与えないため、同条を強行規定と解し、委託証拠金なしの信用取引のときには、委託者と証券業者との間の契約を無効とすることも理論的には考えられるが、本件判決は、従前どおり、右の契約の効力には影響を及ぼさない旨判示した。


◎金融商品取引法の投資者保護基金の概要
投資者保護基金は,金融商品取引法(以下、法という)79条の56の規定による一般顧客(適格機関投資家・国・公共団体を除く)に対する支払その他の業務を行うことにより投資者の保護を図り,もって金融商品取引に対する信頼性を維持することを目的とする投資者保護基金(以下「基金」という。)である(法79条の21)。
「顧客資産」とは,金融商品取引業に係る取引(有価証券店頭デリバティブ取引その他の政令で定める取引を除く。)に関し,一般顧客の計算に属する金銭又は金融商品取引業者が一般顧客から預託を受けた金銭等をいう(法79の20第3項)。
金融商品取引業者(政令で定める金融商品取引業者を除く。)は,いずれか一の基金にその会員として加入しなければならない(法79条の27第1項)。
投資者保護基金の主な目的として、一般顧客が当該認定金融商品取引業者に対して有する債権であって基金が当該認定金融商品取引業者による円滑な弁済が困難であると認めるもの(以下「補償対象債権」という。)につき,一定の金額の支払を行うこと(法79条の56第1項)、弁済困難な金融商品取引業者に対する顧客資産の返還資金の貸付けを行うこと(法79条の59)の2つである。
◎弁済困難の認定
以下の事由により、金融商品取引業者が弁済困難と認められる場合(79条の53)には、基金に通知される。弁済困難事由として、金融商品取引業の登録の取消し、業務の全部又は一部の停止の命令、廃止、破産・民事再生・会社更生(金融機関等の更生手続の特例等に関する法律含む)の手続開始、特別清算の開始の申立てを行ったとき等である。
 基金は、通知を受けた場合には、投資者の保護に欠けるおそれがないことが明らかであると認められるときを除き、当該通知に係る金融商品取引業者(以下「通知金融商品取引業者」という)(79条の53)につき、顧客資産の返還に係る債務の円滑な履行が困難であるかどうかの認定を、遅滞なく、行わなければならない(79条の54)。
◎顧客資産の補償金の支払い
基金は,会員である金融商品取引業者について,破産の申立てがされたなどの通知を受け,法79条の54の規定に基づき顧客資産の返還に係る債務の円滑な履行が困難であるとの認定をした場合,認定を受けた金融商品取引業者(以下「認定金融商品取引業者」という。)の一般顧客の請求に基づいて,法79条の55第1項の規定により公告した日において現に当該一般顧客が当該認定証券会社に対して有する債権(当該一般顧客の顧客資産に係るものに限る。)であって基金が政令で定めるところにより当該認定証券会社による円滑な弁済が困難であると認めるもの(以下「補償対象債権」という。)につき,一定の金額(上限1千万円)の支払を行うものとされている(法79条の56第1項)。
◎最高裁判決平成18年7月13日・民集60巻6号2336頁、『金融商品取引法判例百選』74事件は、旧・証券取引法79条の20第3項2号にいう「証券業に係る取引」の解釈につき,「補償対象債権の支払によって投資者の保護,ひいては証券取引に対する信頼性の維持を図るという,基金が設けられた趣旨等にかんがみると,証券業に係る取引には,証券会社が,証券業に係る取引の実体を有しないのに,同取引のように仮装して行った取引も含まれるが,上記趣旨等からして,当該証券会社と取引をする者が,取引の際,上記仮装の事実を知っていたか,あるいは,知らなかったことにつき重大な過失があるときには,当該取引は証券業に係る取引の該当性が否定される。本件各社債取引は,証券会社とその顧客との間における社債取引として行われたものであり,本件各社債取引がA証券によって証券業に係る取引のように仮装されたものであるとしても,本件各社債取引者らが,本件各社債取引の際,そのことを知っていたか,あるいは,知らなかったことにつき重大な過失があるという事情がない限り,本件各社債取引は証券業に係る取引に当たると解すべきである。」と判示した。なお,上記悪意又は重過失についての主張,立証責任が基金側にある。
◎金融商品取引業者に対する顧客資産の返還資金の貸付け
基金は、基金の補償の対象となる認定金融商品取引業者以外に対して、顧客資産の返還資金の貸付けを行う。
 基金は、通知金融商品取引業者(認定金融商品取引業者を除く。)又は通知金融商品取引業者に係る顧客分別金信託(43条の2第2項)の信託の受益者代理人の申込みに基づき、その必要と認められる金額の範囲内において、これらの者に対し、顧客資産の返還に係る債務の迅速な履行に必要な資金の貸付け(以下「返還資金融資」という。)を行うことができる(79条の59第1項)。
 返還資金融資の申込みを行う者は、当該申込みを行う時までに、当該返還資金融資に関し、次に掲げる要件のすべてに該当することについて、内閣総理大臣の認定(以下この条において「適格性の認定」という。)を受けなければならない(79条の59第2項)。
① 返還資金融資が行われることが顧客資産の返還に係る債務の迅速な履行に必要であると認められること。
② 返還資金融資による貸付金が顧客資産の返還に係る債務の迅速な履行のために使用されることが確実であると認められること。


◎未公開株の販売・無登録業者と金融商品取引法、不法行為責任
 無登録業者が違法に未公開株を販売する事例の弊害について、平成23年に金融商品取引法が改正された。(ジュリスト2012年8月号「特集 金融商品取引法 施行5年の軌跡と展望」、「近年の金融商品取引法に関する改正の概要」)
 金融商品取引法の改正前においても、ほとんど価値がなく譲渡性のない未公開株を高値で売りつけられた場合、不法行為に基づく損害賠償請求が可能であった(『金融商品取引法判例百選』29事件)。
 以下、条文のみを記載する場合は、金融商品取引法の条文である。
◎無登録業者に対する規制
1 金融商品取引業者などの商号。名称の使用禁止(31条の3)
2 広告・表示の禁止(31条の3の2第1号)
3 契約の締結・その勧誘の禁止(31条の3の2第2号)
4 無登録業者による未公開有価証券の売付け等は無効(171条の2)
 この規定により、法改正前とは異なり、公序良俗違反(民法90条)かどうかを問題とするまでもなく、原則として、無効であり、不法行為に基づく損害賠償請求、不当利得返還請求ができる。
5 裁判所の禁止・停止命令(192条)
6 罰則
◎商号等の使用制限
 金融商品取引業者でない者は、金融商品取引業者という商号若しくは名称又はこれに紛らわしい商号若しくは名称を用いてはならない(31条の3)。
◎金融商品取引業を行う旨の表示等の禁止
 金融商品取引業者等(第34条に規定する金融商品取引業者等をいう。)、金融商品仲介業者その他の法令の規定により金融商品取引業(第33条の5第1項第3号に規定する登録金融機関業務を含む。以下この条において同じ。)を行うことができる者以外の者は、次に掲げる行為をしてはならない(31条の3の2)。
①  第36条の2第1項に規定する標識又はこれに類似する標識の掲示その他の金融商品取引業を行う旨の表示をすること。
②  金融商品取引業を行うことを目的として、金融商品取引契約(第34条に規定する金融商品取引契約をいう。)の締結について勧誘をすること(第2条第8項各号に掲げる行為に該当するものを除く。)。
◎未公開有価証券
第171条の2第1項の「未公開有価証券」とは、社債券、株券、新株予約権証券その他の適正な取引を確保することが特に必要な有価証券として政令で定める有価証券であって、次に掲げる有価証券のいずれにも該当しないものをいう。(第171条の2第2項)
①  金融商品取引所に上場されている有価証券
②  店頭売買有価証券又は取扱有価証券
③  前2号に掲げるもののほか、その売買価格又は発行者に関する情報を容易に取得することができる有価証券として政令で定める有価証券
◎無登録業者による未公開有価証券の売付け等は無効
 無登録業者(第29条の規定に違反して内閣総理大臣の登録を受けないで第28条第1項に規定する第1種金融商品取引業又は同条第2項に規定する第2種金融商品取引業を行う者をいう。以下この項において同じ。)が、未公開有価証券につき売付け等(売付け又はその媒介若しくは代理、募集又は売出しの取扱いその他これらに準ずる行為として政令で定める行為をいう。以下この項において同じ。)を行った場合には、対象契約(当該売付け等に係る契約又は当該売付け等により締結された契約であって、顧客による当該未公開有価証券の取得を内容とするものをいう。以下この項において同じ。)は、無効とする(第171条の2第1項)。
ただし、当該無登録業者又は当該対象契約に係る当該未公開有価証券の売主・発行者(当該対象契約の当事者に限る。)が、当該売付け等が当該顧客の知識、経験、財産の状況及び当該対象契約を締結する目的に照らして顧客の保護に欠けるものでないこと又は当該売付け等が不当な利得行為に該当しないことを証明したときは、この限りでない(第171条の2第1項ただし書)。
◎裁判所の禁止・停止命令
第192条  裁判所は、緊急の必要があり、かつ、公益及び投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣の申立てにより、金融商品取引法又は金融商品取引法に基づく命令に違反する行為を行い、又は行おうとする者に対し、その行為の禁止又は停止を命ずることができる。
2  裁判所は、前項の規定により発した命令を取り消し、又は変更することができる。
3  前2項の事件は、被申立人の住所地又は第1項に規定する行為が行われ、若しくは行われようとする地の地方裁判所の管轄とする。
4  第1項及び第2項の裁判については、非訟事件手続法の定めるところによる。
◎罰則
 届出等を要する有価証券を募集・売出した場合、あるいは、無登録業者については、以下の罰則が適用される。
第197条の2  次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは5百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
1号  第4条第1項の規定による届出を必要とする有価証券の募集若しくは売出し、同条第2項の規定による届出を必要とする適格機関投資家取得有価証券1般勧誘又は同条第3項の規定による届出を必要とする特定投資家等取得有価証券1般勧誘について、これらの届出が受理されていないのに当該募集、売出し、適格機関投資家取得有価証券1般勧誘若しくは特定投資家等取得有価証券1般勧誘又はこれらの取扱いをした者
10号の4  第29条の規定に違反して内閣総理大臣の登録を受けないで金融商品取引業を行った者
第200条  次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
12号の3  第31条の3の2の規定に違反した者
13号  第32条の2第1項(第32条の4及び第57条の26第1項において準用する場合を含む。)又は第3項の規定による命令に違反した者
第205条の2の3  次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
2号  第31条の3、第43条の4第1項、第66条の6又は第194条の規定に違反した者

(両罰規定)
第207条1項  法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項及び次項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
2号  第197条の2(第11号及び第12号を除く。) 5億円以下の罰金刑
5号  第200条(第12号の3、第17号、第18号の2及び第19号を除く。)又は第201条第1号、第2号、第4号、第6号若しくは第9号から第11号まで 1億円以下の罰金刑
6号  第198条第4号の2、第198条の6第8号、第9号、第12号、第13号若しくは第15号、第200条第12号の3、第17号、第18号の2若しくは第19号、第201条(第1号、第2号、第4号、第6号及び第9号から第11号までを除く。)、第205条から第205条の2の2まで、第205条の2の3(第13号及び第14号を除く。)又は前条(第5号を除く。) 各本条の罰金刑
3  第1項の規定により法人でない団体を処罰する場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
(法人の役員等に対する罰則の適用)
第207条の2  第197条の2第12号、第198条第5号又は第203条第1項に規定する者が法人であるときは、これらの規定は、その行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員又は支配人に適用する。