
- 藍原 節文
- 株式会社ファースト・シンボリー 代表取締役
- 経営コンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
- 荒井 信雄
- (起業コンサルタント)
分析をどのように実施していったのかに関して、お話したいと思います。
復習の意味で、
【弊社での顧客管理分析導入前の状態】
宅配業態という性質上、アンケートなどによる顧客情報取得は事前に実施
されており、弊社顧客管理分析導入時点で、約8,000件前後の顧客情報は
ストックされていた。しかし顧客情報の整理がなされておらず、既存顧客に
対するフォローアップは何もなされていない状態であった。オーナー様は
フードビジネスに関しては初心者で、赤字が続いている状態。
「顧客管理」が重要であるという認識は様々な経験を積まれてきた中で醸成
されていたが、実際にどのように実施していいのか分からずに苦労されてい
るような状態であった。
そこで、弊社にて既存顧客の整理・分析を実施しました。その内容と結果
は以下のようなものでした。
1.注文回数1回で終わっているお客様が総顧客数の約50%を占めていた。
⇒宅配業態の生命線であるリピートが活性化されていない状態
2.最新注文日が1年以上前のお客様を休眠、1年以内に注文があるお客様を
稼動名簿とした場合、総顧客の約40%が稼動名簿であり、約60%が休眠
名簿であった。
⇒8,000件の名簿を持っていても販促に使用できるのは約3,000件
3.注文回数2回〜4回のお客様の注文周期が約半年であり、注文回数5回以上
のお客様の注文周期の平均が約3ヶ月であった。
⇒これは平均値を取るものではないが、目安として平均値をとる。
実際には、個別の注文周期で販促に役立てる。
4.客単価は注文回数によって大きくは変化していない。
⇒客単価が大きく変わらないということは、RFM分析の観点からRとFのみ
で販促が可能
※RFM分析に関してはこちら
http://profile.ne.jp/pf/aihara/column/detail/32055
5.エリア分析から、店舗を中心として線路をはさんだ南東方向のエリアから
の顧客獲得が難しい状況であった。
⇒宅配エリアが決まっているが、集客できているエリアとできていない
エリアに分類することで、効率的な販促計画を立てることができる。
6.エリア分析から、宅配可能エリア内での総世帯数にしめる顧客数の割合は
13%であった。
⇒適正な割合の目安は、経験則上20%前後。
宅配業界での既存顧客管理分析で重要な点は以下です。
■注文回数別での顧客管理分析
■最新注文日での顧客管理分析
■平均的な客単価での顧客管理分析
■エリア分析
実際に上記のような視点で、顧客管理分析を進めてみると、意外な傾向が
つかめるかもしれませんよ。