
「店長!ひとつ聴いても良いですか?」と、アルバイトが店長に尋ねました。
「いいよ。なにかな?」と店長。
「店長は、なぜ廃棄処分となった食材をゴミ箱に捨てる時に、ポンッと捨てずに丁寧に、まるで壊れ物を扱うようにそっと捨てるんですか?」
この店の新人店長は、賞味期限が来てしまった食材や、調理ミスなどでお客様に出せないレベルの商品を廃棄処分にするときに、とても丁寧にゴミ箱に捨てる習慣を持っていました。アルバイトから見たらそれはとても不思議な光景に見えたのです。
「なぜだと思う?」と店長は質問してきたスタッフに質問返しをしました。
「後でこっそり食べるから?(笑)」
「あはは、もちろん違うわよ。」と言って、店長は説明をし始めました。
「だって、この食材ロスって、私たちのミスで発生してしまったものよね。本当はまだ食べられるものだと思うの。でも、衛生上の問題などを考えると、この材料をお客様に提供するわけにはいかないので捨てるしかないわ。この会社のこのブランド、お客様からの信頼を裏切らないためには、使っちゃあいけないのよ。でも・・・この食材自体には何の責任もないわ。でも捨てなきゃいけない。だから、私はロスとして捨てる食材に『ごめんね』と謝りながら捨てているのよ。愛する人とのお別れなのよね・・・」
飲食店を経営・運営していると、原材料の賞味期限、破損などが原因で、ロスとして廃棄処分にしなくてはならない食材が発生することがあります。捨てることが嬉しい経営者・店長はひとりもいません。なので、そこには「もったいない!」や「これくらい大丈夫?」などの葛藤が生まれます。だって、破損していようが賞味期限が来ていようが、まだ食べられますからね。でも、捨てるのが正しいのです。それが、そのブランドに寄せられるお客様の安心や信頼などの約束を守るための正しい行為なのです。
とは言え、ロスはロスです。ロスは、少しでも減らせるように研究や工夫を積み重ねる必要があるのです。ところが、「どうせ捨てるんですから・・・」と、ゴミ箱にポンと捨てていると、不思議なことに少しでも減らそうという意欲が減少してしまうのです。で、月末にロス総額の金額を見て愕然・・・
しかし、ロス食材に「ごめんね」と言ってゴミ箱に捨てるこの店長は違っていました。発注の改善工夫から、倉庫の整理状態、調理段階での丁寧さなど、日々徹底してロス削減を真剣に考えていました。その結果、全店平均の約半分という素晴らしいロスコントロールを実現していたのです。
さらに、店長のこの姿勢は、接客を担当するホールスタッフにもよい影響を与えていました。少し在庫が多くなってしまった食材を、自分達で自主的にオススメメニューとして提案したり、店頭POPを工夫したりし始めたのです。
店舗スタッフが、ロスを無くすために真剣になる。それは、店長のロスに対する愛情からもちゃんと伝わるのですね。
さあ、あなたも、ロスになってゴミ箱に捨ててしまうロス食材に「ごめんね」とひと言かけてみませんか。きっと、心の中でカチッとスイッチが入ると思いますよ。もうひと工夫しようという前向きな気持ちのスイッチがね。
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