第4章 裁判官はなぜ怒ったのか(15) - 刑事事件・犯罪全般 - 専門家プロファイル

羽柴 駿
番町法律事務所 
東京都
弁護士

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対象:刑事事件・犯罪

閲覧数順 2024年04月26日更新

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第4章 裁判官はなぜ怒ったのか(15)

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(第15回)               

 このように明らかになった実況見分の結果は、Y運転手にとって有利な点と不利な点があると私には思えました。有利なのは、K子ちゃんの走行経路次第でサイドミラーに映らない可能性があることや、甲地点のCさんが目撃したトラックの右後ろの地点(ア地点)から現場監督Bさんが目撃した飛び出し地点(イ地点)までの距離がこれまで考えられていた距離よりも長かったこと(距離が長ければ、それだけ時間がかかったことになり、車体のすぐ前に飛び出す結果となります。)等であり、不利なのは、車体右側にいるK子ちゃんがサイドミラーで見えた可能性があることや、飛び出し地点(イ地点)のK子ちゃんが直前の運転席からも見えること、等でした。
弁護人としては有利な事情を最大限に活かし、不利な事情をどのように克服するかを考えねばなりません。
 第4回公判では、検察官が被害者の母親の検面調書や先日の実況見分調書の追加証拠申請をし、弁護人が同意して採用されました。母親の検面調書はつい最近のもので、検察官がこの段階になってようやく母親から事情聴取をしたことを示していました。
 そして、検察官は前回に裁判官から釈明を求められていた被害者の足跡について釈明をしました。
それによると、ガードマンCさんが目撃した車体右後ろの地点(ア地点)から、Bさんが目撃したブロック塀の地点(B地点)、そして、K子ちゃんが車体に轢かれた地点(×地点)、この3点をほぼ直線で結ぶ線を走った、というのです。
また検察官は、従来の訴因は「発進時」の注意義務違反を問うものでしたが、「発進後」の進行中の注意義務をも含めるものに変更するかどうか検討すると発言し、初めて訴因を変更する可能性があることを明らかしたのです。

                                     (次回へ続く)