免疫学者多田富雄先生のこと　能「かんな」構想

背景
お能に造詣の深かった免疫学者　
多田富雄先生へ　
創作能「原爆忌」をお書きになった
多田富雄先生に
天国の多田富雄先生に・・・・慎んで


こんなお能の構想を考えました


能「神菜ーかんな」　橘凛保作

あらすじ

　あるところに世界中を行脚する旅の僧がいた。
ある日、モンサンミッシェル、ヴァチカン、ベトナム、バリ・・・を巡り
広島を訪れた僧は、そこかしこに咲いていた美しい真っ赤な花の話をしている。

そこにかんなと言う名前の女が登場し僧に尋ねます。
「その花たちは元気に咲いていましたか？」
と・・・・。
「元安川の河岸にいってごらんなさい。同じ花がたくさん咲いています。
そこから見える景色（原爆ドーム）を一度見てきてほしい。」
そう言って、宮島から元安川に行く船に乗って行ってしまう。

その夜、元安川の河岸に着いた僧は、原爆ドームをみて驚く。
すると幽霊が現れて、
「ここにはたくさんの人たちの命が眠っています。平和と引き換えに散った命です。
どうか祈りを捧げて下さい。実は私は、その者たちの真っ赤な血しおを吸って咲いたかんなです。
原爆からたった１ヶ月で命を振り絞って咲いたかんなです。」と言って、舞いながら謡う。
「６０年間忘れられていました。その間宇宙からずっと地球を見守っていました。
しかし，一方カンナの子孫たちは、地上では雑草といわれ肩身の狭い思いをしておりました。
今漸く私は見いだされ、二度とあってはならない悲しい出来事を語りつたえております。
私には恨みはございません。全てを受け入れ恕（ゆる）しました。
この「恕」の想いが世界を平和にすると信じております。
どうか旅の僧よ、この思いを世界中の一国一国の主たちに伝え給え。」
と言って消える


創作能「原爆忌」をお書きになった免疫学者多田富雄先生が生きてらしたら・・・・
お聞きしたかったです
カンナのお能が出来ないかと・・・・

２０１１年
不思議なことに　あるところでカンナの講演をいたしました
その私を待っていて下さった方がいらっしゃいました
「貴方様がいらっしゃると聞いて　会いたい会いたいと思っていました」

なんと・・・その方は多田先生のお妹様ご夫妻だったのです

本当に不思議な出逢いでした

その少し前に私はある方から「原爆忌」の原稿を頂いていたのです

２０１１年その方も亡くなりました

多田富雄先生にお会いしたかったです


多田先生の御弟様が下さった著書の数々

ちょうど私の誕生日に

新刊の御著書を贈って下さいました

その中の一節に私は思いを馳せました


「もともと能は、過去、現在、未来を飛び越えて真実を語る演劇のジャンルです。」


ただただ　多田先生にお会いしたかったです