米国経済5月号 - ライフプラン・生涯設計 - 専門家プロファイル

山本 俊樹
インテグリティ株式会社 
ファイナンシャルプランナー

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対象:家計・ライフプラン

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閲覧数順 2024年10月09日更新

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米国経済5月号

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  1. マネー
  2. 家計・ライフプラン
  3. ライフプラン・生涯設計
やさしい経済の話し 米国経済の話し

国際金融資本市場は表面的には落ち着きを取り戻してきている


3月に大きな危機を迎えた国際金融市場は、ベアースターンズのJPモルガンによる救済合併、4月に入ってからの米大手金融機関の決算発表など、不透明感を払拭しつつ徐々にサブプライム問題の損失処理を消化して落ち着きを取り戻しつつある。株式・為替市場共に一時パニック的な売りが発生したが、いずれの市場も一旦は底を打った形となっている。ただし、米国内においては、相変わらずFRBが大量の資金供給をしているという異常事態が続いているということは忘れてはならないだろう。

利下げも最終局面に


4月29-30日に開催されたFOMCにおいても、0.25%のつかり下げが実施されたものの、その後の声明文においては、2つの大きな変化が見られた。まず、前回のFOMC声明文において、「経済成長には、依然として下振れリスクが残っている」という文言が削除された。また、金融政策において「適宜(タイムリーに)行動をとる」という文言も削除された。
これらの削除の意味するところは、次回以降の利下げについて言及しないで、これまでの利下げの効果を見守りたいという姿勢が窺われる。事実、同じく声明文の中で、「これまで実施された大幅な金融緩和は、市場の流動性促進策を含む措置と合わせて、先行きの緩やかな成長を助け、経済活動のリスク緩和をもたらすだろう」と述べている。
一方で、エネルギー価格や他の商品価格の上昇が続いていることに懸念を示し、インフレに対する警戒感を強めている。
このように、金融市場の側面から見るとFRBの懸命且つ迅速な金融政策の実施により、何とか崩壊だけは食い止めたかに思える。急反転することはとても想定できないが、しばらくは落ち着きを取り戻した市場となるだろう。

実体経済−住宅関連、個人消費などの傷は深い


さて、実体経済に目をやると、依然申し上げたように徐々にその深刻さが経済数値にも表れてきているようである。

まず、1-3月期の実質GDP(速報値)は、前期比年率0.6%となり、10-12月期と同水準であった。しかし、主要項目では、個人消費が1.0%と前回リセッションの2001年4-6月期以来の低水準、設備投資は▲2.5%と2004年1-3月期以来の水準、住宅投資が▲26.7%と1981年10-12月期(▲35.1%)以来26年ぶりの下落率を示すなど、主要項目の落ち込みが激しくなってきている。
住宅市場は悪化を続けている。3月の住宅着工件数は前月比▲11.9%と大幅な落ち込みを示している。販売については、3月の中古住宅販売が前月比▲2.0%、新築住宅販売は同▲8.5%と減少に歯止めがかかっていない。このことから、過剰な在庫問題が深刻化してきている。中古住宅の在庫率は9.9ヶ月、新築住宅で11.0ヶ月と悪化している。

個人消費についても、低水準である。ガソリン価格の上昇、住宅価格下落による家計債務の膨張など、消費マインドを減退させる要因が目白押しである。
個人消費対策としてブッシュ大統領が打ち出した、戻し減税がそろそろ実施されるが、そもそもこの減税自体は前回リセッション時の恒久減税ではなく、時限的措置とされているため、将来の増税を懸念して消費に回らないと考えられ期待薄である。
原油価格が120ドルを突破するなどエネルギー価格の上昇が続く中で、住宅市場、個人消費に加えて企業の設備投資も停滞が続き、米国経済全体の減速は長引くものと予想する。