米国経済6月号 - ライフプラン・生涯設計 - 専門家プロファイル

山本 俊樹
インテグリティ株式会社 
ファイナンシャルプランナー

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閲覧数順 2024年04月23日更新

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米国経済6月号

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  1. マネー
  2. 家計・ライフプラン
  3. ライフプラン・生涯設計
やさしい経済の話し 米国経済の話し

落ち着きを取り戻しつつある米国経済


サブプライム問題でゆれた米国もやや落ち着きを取り戻し、景気も年後半には持ち直すというコメントも散見されるようになった。そのような楽観的な見方の根拠となっているのが、1.信用不安の緩和、2.大幅利下げによる効果、3.1000億ドルを超える税還付、4.住宅市場の底打ちなどである。しかし、これらの要因はいずれもまだまだ不安定であり、早急な持ち直しというのはかなり楽観的過ぎるのではないかと考える。

しかし、楽観視は禁物


1.信用不安の緩和⇒確かに米国金融機関はサブプライム関連の損失はかなりの部分計上した上で、中東などからの資本増強も行い危機的状況は脱したといえる。しかし、証券化市場の回復は以前にも述べたように格付け信奉の崩壊により、以前のようなマーケットの回復にはかなりの時間を要することになるだろう。そもそも証券化という技法は、銀行がリスク資産を増やさないでできる信用創造であった。これができなくなると企業側の資金調達にも大きな影響を与えることになる。それ以上に、銀行もリスクアセットを減らすための信用収縮が継続されるのではないだろうか。当然これは企業活動、経済動向にマイナスの要因となるものである。

2.大幅な利下げによる効果⇒これまでの連銀による大幅な利下げにより、市場の流動性は保たれ、金融機関の資金調達にも支障をきたすことなくこの大きな問題を乗り越えた。しかし、その利下げによって、過剰流動性による資金が原油などの商品市場に流れ込み現在のような商品市場の異常な高騰の原因にもなっている。また、バーナンキ議長は、長期的なインフレ懸念により、当面の利下げ打ち止め、或いは、インフレへの対応として利上げの可能性もあるといニュアンスのコメントを出した。
そうなれば今までの利下げ効果も期間的にはごく短期間で終結するということになる。

3.1000億ドルを超える税還付⇒4月から低所得者(1人当たり年収7.5万ドル以下の所得者)への税還付が始まっている。過去の経験から見れば、これによる消費が数%伸びる見込である。しかし、現状は借入超過の状況にある者が多く、その還付金が結局は借入の返済に回り、消費には結びつかないのではという見方も多い。

4.住宅市場の底打ち⇒中古住宅販売、新築住宅販売いずれも低位横ばい状態まで回復(落ち込みは止まりつつある)している。しかし、一方で、個人の借入負担には変化がないため、住宅価格が上昇に転じない限りは回復しないものと思われる。

原油高騰で再びインフレリスク台頭


さらに、原油の高騰が止まらず、ついに140ドル台を突破する勢いである。ガソリン価格は、年初の1ガロン(約3.785リットル)=2ドルから、5月末には3.94ドルまで上昇している。このように、インフレ懸念が急速に強まっており、4月のFOMCにおいても、「今や、以前と比べて景気の下振れリスクはインフレ・リスクとより均衡している」と考えられている。そして、「経済・金融動向が景気見通しを大幅に悪化させるような事態にならない限り、景気が一段と減速したり軽微な後退局面に陥ったりする場合であっても、追加利下げは適切でない」と、これ以上の利下げは当面控える発言があった。そればかりか、インフレ懸念がこれ以上拡大すれば利上げの可能性も出てきたのである。
米国経済は、急速な落ち込みは避けられたものの、再びインフレが大きな焦点となってきている。