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清水 圭一
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閲覧数順 2016年12月04日更新

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今更ながら、SAPとはなんぞや?

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SAP

さんざん語りつくされてきた感のあるSAPというERPパッケージについて、今更ながら、改めて解説したいと思います。

【注意】
・筆者は、SAPというシステムやSAP業界に対して歪んだ愛情を持っています。
・そのため、あまり公平でない表現があることは予めご了承頂ければと思います。
・生まれる前に起きたことも、訳知り顔で記述しています。

ERPパッケージとは?

「SAPとは、ERPパッケージです」という説明をよく目にしますが、そもそもERPパッケージとは何ぞや?というところから入りたいと思います。

まず、企業が管理しなければならない情報というものは、凄まじく色々な種類があり、それぞれ種類ごとに膨大な量が存在します。

これについて、ERPという概念が登場する前までは、種類ごとに別々のシステムで管理していたのです。例えば、販売システムや在庫システム、会計システムというように。
そして、複数のシステムが存在するということは、例えば実体はひとつの取引だったとしても、販売システムと会計システムの両方に実体が一緒のデータが存在するなんてことが起こるわけです。

それも自然発生的に存在するわけがありませんので、2か所にそれぞれ手入力したり、自動で連携される場合もわざわざ連携機能を開発しなければならなかったり、リアルタイムで連携されずに日次や週次あるいは月次単位の連携だったり、開発はされたものの不具合やモロモロの事情でシステム同士で数字が合わなかったり、その原因を調べたり、結局どちらのシステムが正しいのかわからなかったり、色々と大変だったようです。

これを解消するために考えられたのがERP(企業資源計画)という考え方で、すごく雑に言うと、バラバラに存在していたデータをひとつのシステムに統合しようね、そしたら業務的にもシステム内部的にも効率化するよね、そこから生まれるシナジーもあるよねというコンセプトで、それを実現するためのソフトウエア(システム)を「ERPパッケージ」と呼びます。

SAPとは?

このERPという考え方は世界中から支持を受けることとなり、ERPベンダーは各自のERPパッケージの開発と導入を進めていくこととなり、ERP市場という独自のマーケットも出来上がりました。

そして、その一つがSAP社でありSAPというパッケージである、というわけですね。

また、SAPは上記のようなビジネス志向のモチベーションはもちろんありましたが、システム内部の複雑化がエスカレートし過ぎていることが懸念されていた当時、モジュール化やカプセル化という考え方でスマートな作りにしようというアプローチも組み込んでいたことも特徴のひとつです。

ちなみに、現在はSAP ERPという呼称ですが、その前はSAP R/3、更にその前はSAP R/2というパッケージだったそうです。

ERPパッケージには、オラクル社のEBS、オラクル社に買収されたピープルソフト社のPeopleSoft Enterprise、日本ではOBC社の勘定奉行、ワークスアプリケーション社のCompanyなどが有名です。

その中でも、とりわけSAPというパッケージのシェアと市場規模はブッチギリで、世界中の企業で利用されており、大企業だけでなく、昨今では中小企業の導入も進んでおり、特にフォーブス2000という世界の名だたるトップ企業においては、圧倒的なシェアを誇っています。

これには、強固なデータベースと厳格なシステムによるデータ整合性の担保(その分、融通が利かないのですが)、多言語・多通貨・多拠点での活用を支える豊富な機能と技術基盤の実装などが背景として挙げられます。

SAPのメリット

※もう少し、SAPを褒めるシーンが続きます

さて、SAPを導入すると、どんな良いことがあるのでしょうか?また、他のERPパッケージとの差別化のポイントは?

私はSAPに10年関わってきましたが、導入メリットを下記に考えました。

【SAPというパッケージに起因する要因】
・多様かつ大量のデータが管理可能な、強固でフトコロの広い管理基盤
・パラメータ設定個所が非常に豊富であり、高い自由度を誇る
・組織を表現する項目が多彩で、新会社や組織変更にも対応しやすい(※異論はあるかと思います)
・開発プラットフォームや移送(システムの変更を管理・反映する仕組み)の考え方が秀逸
・多言語、多通貨、多拠点に対応
・理想的で効率的とされている業務プロセス(仕事の手順)が予め組み込まれている

【SAPという存在そのものに起因する要因】
・中小や新興ベンダの製品を使った場合、会社の倒産や事業の停止および保守の放棄などのリスクがあるが、SAPはシェアが非常に高い=とても利用者が多いため、そういったリスクは殆どない
・膨大な導入事例によって導入や運用のアプローチと方法論が洗練されており、その知見は世界中に存在する
・独自の市場が形成されているためエンジニアの調達が容易で、他のパッケージやスクラッチの場合だとそうはいかない


SAPのデメリット

さて、散々褒めてきましたが、終盤に差し掛かったここで一気に落とします。
よくある罵倒が、この三つです。

1.ライセンス料も導入費用もエンジニア単価も、何もかも高過ぎ!!!
2.機能が豊富の裏返しで、設定個所が多すぎて難解!!!
3.大抵の事例でアドオン(追加開発)し過ぎ!完全にブラックボックス化している!!!

1については、その通り過ぎて、何もコメントできません。
百億単位を投じた導入プロジェクトは多くありますし、そこまで行かずとも数億円は必要です。
当然ながら中小企業向けには安価なコースもありますが、ゼロが一つ減ったくらいでは、まだまだ敷居が高いのが現状であり、他のパッケージの導入やスクラッチ開発においては、そこまでの巨額にはならないことが殆どです。

2については、顧客側で自らメンテナンスすることが絶望的な程に難解です。
お金は更にかかってしまいますが、諦めてSAPベンダーに頼んでください。

ところで、SAPというパッケージは、誤解を恐れずに言えば「パッケージに用意されている機能や手順がベストなので、企業の独自色はパラメータ設定で吸収して、仕事の仕方はシステムに合わせなさい」という発想で出来ています。

その考え方の是非は別の機会で触れるとして、実際はお仕着せの機能だけで仕事が回るかというと、そうもいきません。

そのため、不足している機能やシステム標準で力不足な部分についてはアドオン(追加開発)が行われるのですが、そこが多いこと多いこと。

その原因は、「元々機能を用意していないSAPというパッケージが悪い」、「追加開発をしなくて済むようなコンサルティングができていないSAPベンダーが悪い」、「そもそもコンセプトを無視して自らの仕事のやり方を変えない顧客が悪い」という、登場人物それぞれの言い分がありますが、とにかく多くのアドオンをする事例が殆どです。

そのため、追加開発するためのお金が更に必要となり、追加開発した分だけシステムが複雑化し、その結果ブラックボックス化が加速するという流れになるのが常・・・ということになります。

最後に、SAPは「ドイツ生まれ」の「グローバルシステム」であるため、「日本国内のみ」で使用する「ローカルシステム」として見た場合、冗長さや使いにくさだけが目立つ結果になりがちであることも大きなポイントです。
特に指摘される点としては、システム標準のレポートや外部帳票が全く日本人ウケしない点です。仮にアドオンを控えめにしても、この2点だけは必ず実施されるように思います。

SAPのメリットを引き出すためには?

しかしながら、「SAPなんてロクなもんじゃない!」かというと、そうでもありません。
まず、SAPは満漢全席の様なシステムである、と認識すべきです。

どういうことかというと、高い高いお勘定と引き換えに、テーブルには色とりどりの料理が乗ったお皿が、所狭しと並べられています。

これを食いしん坊な人たちが大勢で食べるならば元も取れるのですが、食の細い人が何人かで食べるような場合、殆どのお皿は箸もつけられることなく残されてしまいます。勿体ないですね。挙句、これとは別にアレが食べたいコレが食べたい言って、追加オーダーをすると。

つまり、高額なライセンス料と導入費用・運用費用をかけて、膨大な数のシステム機能が利用可能だったとしても、多くの業務要件を持つ人が多数存在するわけでなく、例えば会計モジュールだけ導入して経理ユーザだけが使うようなケースでは、まったく値打ちが出ないということです。そして、にもかかわらず多くのアドオンをした場合などは言わずもがなです。

まとめると、
・できるだけ多くの業務要件をシステムに乗せ、かつアドオンを控えめにすること
・特定の業務や組織だけの導入はせずに、全社全拠点に導入すること
・単体の会社だけでなく、グループ会社や海外の拠点についても導入対象とすること


といったところでしょうか。
長くなってしまいましたので、今回はこの辺で。

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