街を歩いていると、なんとなく気になるシーンが目に入りシャッターをきったフォト。 それは意外とデザインや住まいづくりのヒントになったりするものです。
たまに車で通るルート途中で気になるロケーションがありました。 藁葺き屋根の古民家が保存されているようなのです。 先日少し時間の余裕があったので車を停め、見学することができました。
立川の砂川にある「小林家住宅」という約150年前の江戸時代にこの地に存在していた武家屋敷にも匹敵するほどの農家のお屋敷です。 このエリアは現在でもかなり大きなお屋敷が存在していますが、昔の建築が保存され立川の有形文化財に指定されているそうです。
「六間型=ムツマガタ」と呼ばれる六つの部屋が連なる間取りで、その廻りを縁側が廻る典型的な日本家屋の伝統様式です。 壁らしい壁はほとんど存在せず、柱と梁と可動式の障子や襖で空間が仕切られ、建具を開け放せば、室内と外は完全につながります。 風や光が通り抜け、今頃の季節は実に気持ちの良い空間なのです。 昔のおじいさんの家がこんな間取りだったことを思い出し、ノスタルジックな雰囲気が不思議な落ち着きを感じました。
建築が工業化され、構造も仕様も日本の住宅は急速に進化した今、一方ではアレルギーや環境問題で自然素材や住宅環境のエコ化が重視され注目されているこの頃ですが、この民家を見てみると、あらためて日本建築の伝統様式に「エコ住宅」を感じることができます。
それは自然環境や自然素材との共存が不可欠で、エアコンや床暖房などの快適性とは相反する自然の厳しさも受け入れなければならないかもしれませんが、そこには確実に「心地よさ」が存在しており、「住まい」はシェルターのような環境から隔離する発想ではなく、自然環境とつながる空間を基本に考えることが「エコ住宅の原点」であり大切なことだとあらためて感じました。
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酒井正人のDesign Diary
このコラムの執筆専門家
- 酒井 正人
- (東京都 / 建築家)
- サカイデザインネットワーク有限会社 取締役社長
住む人の手が触れる場所から、建物へ、街へと心地良さを拡げたい
設計手法・デザインの発想は「内側から外側へ」・・・建物という器だけをつくるのではなく、私達が暮らす場である生活空間の細部から生活環境全体のデザインを追求し「心地よさ」をご提案しています。
03-6379-4831
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