
- 河野 英仁
- 河野特許事務所 弁理士
- 弁理士
対象:企業法務
- 村田 英幸
- (弁護士)
- 尾上 雅典
- (行政書士)
執筆者:弁理士 河野登夫、弁理士 河野英仁
予稿を学会に送付しただけでは新規性を喪失したことにはならない、学会当日又は少し前に予稿集が出るまでに特許出願すればいい、という考えはアブナイこともある。
ある大学教授が米国の学会での発表予稿を学会事務局へ送付した。学会は数ヶ月先、それまでに特許出願しよう・・・と考えているうちに日が経った。ある日その学会からメールが来た。予稿を学会のウエッブサイトにアップしました、というお知らせである。あわててサイトを見るとナント我が原稿が掲載されているではないか。こんな場合も30条は何とか救ってくれるが、一部を除く外国での権利化は断念せざるを得ない。
「ウエッブサイトにアップして良いですか?」と事前になぜ聞いてくれないのか、と恨んでも後の祭りである。米国の学会にしてみれば、特許出願は当然先に済ませている筈、という認識か、または、先発明主義(先に出願した者ではなく、先に発明した者に権利を付与する、という考え方)のお国柄か、頓着していないのである。 (第19回につづく)