大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
コロナウイルスが叩き潰した留学
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コロナウイルスが荒れ狂う世界で、調子に乗りすぎて来た英語圏の学校が冷や汗をかいています。
大学も高校も語学学校も、放っておいてもエージェントがどんどん送り込んでくる留学生の授業料に中毒症状を呈していた「留学事情」。 (New York Times)
高額の授業料を当てにした学校の予算は総崩れ。
「いくらでも入って来る授業料」中毒から、一気に禁断症状に陥り、慌てふためく様子が身近に観察されます。
もちろん、カナダもそうですが、特に影響が大きいのがオーストラリア、英国、アメリカなどです。
コロナ後は一気に留学生がいなくなると怯えています。
コロナウイルスは人間を襲うだけでなく、容赦なく留学ビジネスを粉砕しています。
1.まずは、特に存在価値もなかった語学学校というもの
例えば、バンクーバーにある語学学校。
3月に入ってからの生徒数の危機的減少により経営困難に陥るところがほとんど。
講師たちもオンラインでの授業に備えるものの、その給料を払う余裕もなし。
教室のあるビルへの賃料も滞り、カナダ政府の支援金などは焼け石に水。
倒産しか道は残されていない。
もし、コロナが夏には少しは落ち着いて来る楽観したとしても、それまで経営は持たない。
(Vancouver Sunより)
恐ろしくたくさんの語学学校が、英語圏の国々、そしてカナダから消滅すると思われます。
もともと、低レベルの学生を非英語圏から呼び込み、お遊び程度の授業を提供していた語学学校。
金儲けのためだけに現れ、金儲けのためだけに存在していた語学学校が消滅することは、実は大きなプラスだ思います。
「わぁ〜い、英語が好きだからカナダに留学!」
「日本の大学に行けなかったから、カナダに留学! 語学学校からスタートしよ!」
という、全く現実無視の「お遊び体験」に無駄なお金をつぎ込む犠牲者が減ることは、コロナウイルスがもたらしたプラスの部分だと思います。
2.大学留学
中国人留学生の大減少により授業料収入が悲劇的に落ち込む予想。
人気のないコーの削減、大学の施設維持が出来ない、学生への支援など質が下がると心配されている。
中国人留学生の落とす授業料に頼り過ぎていた大学は頭を抱えている。
平均で、大学の留学生数は4分の1になると予測されており、経営不能に陥る小規模大学が増える。
さぁ、いよいよ、英語圏大学留学が本来の形に戻りそうです。
「授業料〜〜!」とヨダレを垂らし続けて来た大学が、「優秀な生徒〜〜!」と焦点を変えることになります。
「大学とは留学生の授業料で稼ぐところ」ではなく、「大学とは優秀な留学生が質を上げるところ」に戻ることは、これもコロナウイルス下の数少ないプラス要因だと思います。
日本から英語圏の大学進学を目指す高校生にはまず認識しておいてほしいこと。
「日本の高校での成績優秀、英語圏大学で通用するエッセイスキル・クリティカルシンキング運用能力がある場合のみ、大学留学が可能である」という時代がまたやって来ます。
「カナダの大学に行きたいけど、英語が出来ないのでまずは語学学校に行きます」というまぼろしは消滅します。
また、今回のコロナウイルスには各国が独自の方法で必死で対応しています。
カナダも日本とは大きく異るアプローチで科学的に進んでいます。
そんなカナダの態度・方針に興味を持ち、カナダ社会で学んでみたいと思う学生だけの大学留学となることを楽しみにしたい気持ちです。
3.高校留学
ここには一番悲劇的な変化が予測されます。
元々、自国の高校生の教育に集中し、高等教育に叶う能力を付け、将来社会に貢献出来る人材を育成することが責務である高校。
そこに「留学生の払う高額授業料」中毒となった各スクールボードが金の亡者として登場した「汚い高校留学」。
コロナウイルスがとどめを刺したかも知れません。
たくさんのエージェントが倒産するでしょうね。
自国の生徒の命を守るため、自国の生徒の教育機会を守るため、連邦政府も州政府もスクールボードも必死です。
オンラインに移行する高校教育もカナダ人生徒向けで進みます。
授業料中毒のスクールボード留学プログラムも人員削減を始め、プログラム縮小を進めています。
オンラインで提供される内容も、カナダ現地の高校生向け、そしてカナダの親のサポートが必須。
カナダの高校生には教師がひとりひとり丁寧に対応しています。
親にも頻繁に電話をかけ、生徒の精神状況にまでも踏み込んでいます。
が。
留学生には、メールが届く程度、オンラインもサインアップしなさいとの指示が届く程度。
日本の親にカナダの教師が電話で対応するなど想像も出来ません。
あんなに高い授業料を払っているのに。
中国の親たちは、今回のコロナウイルス対応に付き、英語圏の自由主義の国々に不信感を持ち始めました。
こんな国には子供をおいておけない!と。
カナダのトルドー首相も予測発表したように、現状はおそらく1年から1年半は続く。
そして、もとに戻ることはないと。
2月までに存在した「授業料さえ払えば誰でもおいで!」高校留学はカナダにはもう戻ることはないと思います。
コロナ後のカナダでの高校留学。
大きな警告を発したいです。
半年から1年後に後悔することのないように。
Good Luck!
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