大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
カナダ高校留学物語 - 自分だけが迷子
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高校留学中の日本人から頻繁にSOSが飛び込みます。
特に今年になってからのトラブルのレベルに驚愕。
未成年の個人に関することですので、具体的な件については公開致しませんが、今までに遭遇したケースを織り交ぜ 「カナダ高校留学物語」としてストーリーにしてみました。
ここに出てくる詳細はすべて実話に基づいています。
こんなことが日常に起こるのが「高校留学」です。
エージェントの大嘘と、真実を隠したまま留学生の授業料だけを目当てにする教育委員会の留学プログラムと。
(特にSOSが集中しているBC州のラングレープログラムには要注意。)
カナダのいわゆる公立高校の留学プログラムが、日本人高校生をどれだけ杜撰に扱っているかの警告としてぜひお読みいただきたい「カナダ高校留学物語」です。
Capter 1 - 「自分だけが迷子」
留学エージェントからしつこく電話がかかって来る。 エージェントってみんな同じ話し方をするよなぁ。 猫なで声で、言ってることまで「にゃぁにゃぁ」と聞こえる。
「カナダへの高校留学は簡単ですよ。 誰でも受入れてくれるのがカナダの高校ですから。 うちが送った日本人はみんな卒業して帰って来ています。 でも早く決めないと、席がなくなりますから!」
「早くお金を払わないと席がなくなりますよ。」は安っちいセールストークなのは見え見えだけど、それに乗ってしまう親と自分を遠くから眺めている気分。 まるで、筋書きが見え透いたドラマの1シーンのよう。
僕のことを何も知らないエージェントが、ただ一度問い合わせしただけでなんでカナダの高校でもやっていけると言えるんだろう。 嘘に決まってる。 僕を留学させれば儲かるんだろうな、きっと。
母親もしきりに勧めて来る。 「カナダという選択肢もあるよ。行ってみたら?」と。
選択肢? 僕の未来への選択肢? なんで日本じゃいけないのか、考えるのもうっとうしい。
遠い国にやってしまおうとしている訳は? 中学で教師と言い争いばかりしたこと? 成績はほとんど2と3だけだったこと? 毎朝学校に行く時間に腹痛を起こしたこと? 塾代で遊びに行ったこと?
よくわからんけど、親がそう言うなら。 日本の高校より楽しいとエージェントサイトにも書いてるし。 日本人留学生がニコニコ笑っている写真が並んでいるし。 エージェントは信用してないけど、信用しないと先に進めないし。
自分に合わない日本にいるよりはマシかも。 母親もほっとするかも。
ま、英語がしゃべれるようになったらいいし。 なるかな〜? 文法は面倒臭くてわからないけど。 日本にいても友達もいないし。 みんな嘘くさい。 先生にも嫌われてるし。 監獄みたいな高校にも興味はないし。 エージェントも学校の教師も嘘ばっかりやけど、エージェントは殴ってくることはないだろう。
中学を卒業し3月の終わり。 カナダ行きのエアカナダに乗った。 機体のメープルリーフのマークが眩しかった。 「留学します!」とも大きな声で言えないくらい、自分が何をしにどこに行っているのか不思議だった。 英語の機内アナウンスが「脅し」みたいに聞こえて来た。 機内食の朝ごはんに出た「お粥」に笑った。 お粥とパンとジャムが出てきた。 カナダに行ったらこんなの食べるのかな。
英語もしゃべれないのに、なぜ自分がカナダに向かっているのかわからないままバンクーバーに着いた。 「誰でも卒業出来ますよ。」とエージェントの言葉がまだおまじないのように聞こえて来る。 多分本当なんだろうなと信じたい妙な気持ちで、窓の下に広がる森がいっぱいある濃い緑のバンクーバーを見つめた。
4月から8月まで、バンクーバーの語学学校へ行く。
自分がいっぱいいた。
日本でろくな高校に行けなかった。 高校受験に失敗した。 登校拒否。 いじめ。 親が勝手に留学を決めた。 女の子はこんなことばかり言ってた。「きゃぁ〜〜英語が好きだから来たぁ。」「フライトアテンダントになりたい!」
まるで親に捨てられたような日本人がうじゃうじゃいた。 もちろん、勉強なんてする気もない。 小遣いだけはふんだんにある。 小遣いをしこたま持たされて、カナダに捨てられたような日本の高校生がうじゃうじゃ。
語学学校も授業料ぼったくり。 留学生を集めて、動詞を過去形にする練習。 “a”と”an”の違いの説明。 カッコの中に形容詞を入れる練習。 講師たちは語学学校でしか仕事がなかったと思えるようなのばっかり。 女子高校生に今にも手を出しそうなのもいた。 こんなことやって、本当に英語が出来るようになる? カナダの高校ってやっぱり簡単なのかも。 こんなんで間に合うのか。 じゃ、なんで余分に授業料を払って語学学校とかに来た? エージェントの嘘?
学校とは名ばかり。 怪しい地域のビルの2階。 小さな教室(4畳半くらい)がいくつか並んでる。 中には3つほどの長テーブル。 ぎっしり生徒を詰め込み隣のヤツの臭いが気になる。 太った講師が何かしゃべっている。 生徒は全く聞いてない。 午後、どこに遊びに行くかしか考えてない。
もう、どうでもいい。
ホストファミリーは、中国人移民家庭。 中国語が飛び交う家。 よく叫ぶ家族。 いや、あれ、普通の会話かも。 ま、いいか。 何時に帰ろうが帰るまいが、放っておいてくれる。 ホームステイ費さえ払えばいいらしい。 食事は夜だけしかない。 朝は抜き。 昼はダウンタウンで日本食のラーメンとか。 夜は抜け出して遊びに行く。 かなり危険な地域らしいけど、ま、自分は大丈夫と思っている。
同じホストの所に、あと3人の留学生が。 日本人と中国人。 中国人は僕より英語が出来ないので、中国語しか使わない。 話す気もないので、どうでもいい。 留学生は地下の部屋を間仕切りした場所に一緒に暮らす。
シャワーは夜9時以降しか駄目と言われている。 休日はなぜか昼間にしか駄目と。 シャワーも長すぎると罵声が飛んでくる。 ホストは相当ケチ。
家はごった煮のようにごちゃごちゃ。 地下の部屋も汚い。 シーツもシミがある。 夜はホストの叫び声がうるさい。 文句を言おうにも英語が出来ないし、ホストも英語が出来ないし。 何してるんだ、ここで?
ホストの冷蔵庫の中にはほとんど何もない。 お腹が空いたら近くのコンビニに買い出し。 コンビニの近くには妙なギャングっぽいのがたむろしている。 インド人? ベトナム人? 危なそうな白人もいる。 襲われるかも。
親は語学学校が役にたっていると思い込んでいる。 ホームステイはテレビドラマのように楽しいと思っている。 カナダにいるだけで英語が出来るようになると、なぜか思い込んでいる。
自分だけが迷子。 何をしに来たのかどんどんわからなくなってきた。 (Chapter 2 に続く)
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