大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「カナダ留学情報 - 政権交代・超保守に戻ったアルバータ州」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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カナダ留学情報 - 政権交代・超保守に戻ったアルバータ州

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留学 大学・高校正規留学 2019-04-18 10:10

留学生、特に未成年の高校留学生にとり、留学先国・地域の政治・社会情勢は大きな関心事です。

政治の方針が変わると社会情勢も大きく変わり、留学を取り巻く環境に劇的な変化が現れます。

特に移民で成り立つ多文化主義のカナダでは、移民・白人以外の民族への認識が政党により信じられないほど異なります。

 

アルバータ州の政権が超保守主義の政党United Conservative Party (名前もすご!)に変わりました。

昨日の選挙で大勝利。

高校留学を希望するみなさん、アルバータ州はこの政権がいる間は避ける方が賢明かも知れませんよ。

 

私自身がアルバータ州に来たのは2年半前。

オイル不況の真っ只中、「移民に仕事を奪われた!経済が悪くローンが払えない!自由主義など反対!環境破壊のどこが悪い!女のくせに(前政権のリーダーは女性でした)!」という、まるでトランプアメリカか?と思えるような社会の様子に「なんじゃこれ?」

州の自治権が非常に強いカナダでは、州ごとに外国ほどの違いを感じますが、このアルバータ州の時代錯誤保守ぶりには驚き。

 

オイル価格の暴落などにより調子に乗りすぎていたアルバータ州の経済がど〜んと落ちたのが2014年。

地球を守るためにクリーンエネルギーに人類の歴史的転換期の中、避けては通れない道だと思いますが。

その恨みと怒りを全部前政権の女性党首に向けた、時代錯誤の偏見も目についた選挙でした。

 

さて、新リーダーになった人物。(左側の人)

コテコテの保守派です。

移民にはやさしくないです。

アジアやラテン・イスラム圏の保守的な国からやって来た移民の票を取り込むべきだ!と2008年頃から動き出し、人種差別主義者の顔を隠し移民コミュニティ巡りもやった人物です。

もちろん「あなたは人種差別主義者だから受け入れません。」と、そうは問屋がおろさなかったらしいですが。

 

ローマ・カトリック教の高校・大学出身、敬虔な信者で、その価値観が今後州にも反映されていくでしょう。

自分の保守党候補が数年前にやらかしたコメント「ホモセクシュアルの愛は偽物だ! ホモは子供を性的虐待する変態と同等だ! 堕胎する女は殺人者だ!」に対しても異を唱えず、最後まで候補者を守りました。

 

ところで、その候補者はカトリック教会の牧師で、今回当選しました。

Edmontonの西1時間半ほどの所にあるDrayton Valleyという町です。

「ホモセクシュアルの愛は偽物だ! 子供を性的虐待するのと同等だ! 堕胎する女は殺人者だ!」を認めた町です。

 

今回政権を取った保守党のリーダーKennyは、アルバータの人たちの経済不況への怒りをうまく利用、人種差別・男女差別・LGBTの問題などアルバータでは問題にもならないと自信満々だったそうです。

(トランプのアメリカみたいです。)

 

アルバータ州民の自己中な怒りと、Kennyの恥を知らない戦略は、この選挙で見事に保守党を大勝利に押し上げたと分析されています。

 

アルバータの教育も変わります。

卒業に向けての州試験が難しくなります。

教師への評価が厳しくなりますので、学校内での軋轢が予想されます。

留学生プログラムにも影響は必至だと思います。

まずは、教師のストから始まるかも。

 

今回の選挙は、残念ながらアルバータ州の欠点が見事に出た選挙に思えますが、将来期待出来そうなこんな報道も

「保守のアルバータはそう長くは続かない。 アルバータ州民の教育レベルも上がっているし(教育レベルが高いほど自由主義の傾向が強い)、カナダの平均年齢40.8才の中、アルバータは36.9才。 ミレニアル世代がリードする時代がすぐそこまで来ている。  We are young.」

 

そして、こんな若者が多く住む街が、今私のいるエドモントンです。

広大なアルバータ州の田舎で、古臭い価値観を持ち続ける年配の人たちの票が保守を再び政権につかせた選挙でしたが、エドモントンだけはNDPが議席を取ったオレンジ色です。

それ以外、アルバータ州はほぼ真っ青な保守。

四面楚歌のエドモントンみたいです。

 

アルバータの田舎から「よし!」と引っ越したエドモントン。

選択は間違ってなかったようです。

 

しかし、そろそろアルバータは見切りをつけることにしました。

保守に凝り固まった場所で日本人をやるのは少々面倒くさいです。

外国ほど考え方の違うBC州に戻ろうと。

 

高校留学を計画中のみなさん。

これがアルバータの現状です。

参考にしてください。

 

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