大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
「高校2年でカナダ留学し、そこから2年でカナダの高校卒業出来ますか?」「出来ません」
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春真っ盛りの日本から、心を痛める相談が相次いでいます。
日本の教育制度下でも頑張っている高校生と親からの相談です。
高校2年生の9月からカナダの高校に留学、そして2年で卒業し、そのままカナダで大学進学または帰国生入試。
正に漫画のような「バラ色の誘惑」です。
その相談内容を読むたびに、また犠牲者が。。。と心が痛い思いです。
大多数の留学希望者の常として、まずはエージェントに問い合わせ。
エージェントは「やった!またカモが来た!」と大嘘の「夢物語」でセールスします。
高校生本人は、いたって真面目に自分の将来を考え、親も何とか子供の希望を叶えてやりたいと「夢物語」に簡単に引っかかります。
どのコラムにも「高校卒業留学」については、相当厳しい現実を報告していますが、本当の事より、「簡単ですよ〜。2年で卒業可能です。」というトランプレベルの大嘘を信じたくなるのでしょうね。
カナダで生まれ、英語で育ち、クリティカル・シンキング社会で育ち、小学校・中学校とクリティカル・シンキング特訓を受け、高校に上がってきたカナダの生徒たちが学ぶ所がカナダの高校です。
そこに、英語も満足に出来ず、クリティカル・シンキングの「ク」の字もわからず、エッセイの書き方すら知らない日本の高校生が来て、同じ教室で同じレベルの勉強が出来ると思う事自体、非常に馬鹿げたことだと思いませんか。
「留学!」の夢を見ている親子にはそんな当たり前のことも無視するほど、「大丈夫ですよ」の大嘘を信じたいのでしょうか。
また、今年も日本の真面目な高校生達が、「嘘つきエージェント」の餌食となっていきます。
一生懸命働いた親のお金を「嘘つき留学」につぎ込ませ、後は知らぬ存ぜぬ。
そんな詐欺まがいの現状に警鐘を鳴らす意味を込め、一人でも騙される高校生が減るよう祈りつつ「なぜ、高校卒業留学は不可能に近いのか」を述べて行きます。
ある親からの相談
「これからの2年間で高校卒業及び大学進学をカナダで実現させるには何が必要なで、どのようにすべきか具体的な方法を教えていただけると嬉しいです。」
(回答)
1.日本の高校生が2年間でカナダの高校を卒業すること自体はまず不可能です。
しかも大学進学に必須の、高いレベルの単位やGPAを取ることはもっと不可能です。
(多くのコラムに、卒業に必要な単位などの詳細などについても説明していますのでぜひお読み下さい。)
エージェントは「日本の高校の単位を移行出来るので、2年間での卒業は簡単ですよ」と大嘘をつきますが、肝心の情報は隠していますので要注意です。 (全て移行出来るわけではないのもその一つです)
ただし、非常に少数ですが、下記の場合は可能性はゼロではありません。
・日本の教育制度で理数系が優秀であること。 (卒業に必要なmathの単位は簡単に取れると思います。科学系の単位はかなり英語が必要ですが、基本を理解しているとスムーズに進めます。)
・英語の基本文法運用能力があること。 (中学までの文法は完全理解が必須です。 しかも、自分のideaを論理的に書ける文法能力が必須です。)
・クリティカル・シンキング思考法の訓練を受けていること。 (カナダの高校はクリティカル・シンキングのレベルが非常に高いです。 この訓練なしでは、正式なEnglishのクラスには入れません。)
・英語のエッセイの書き方、方式を知っていること。 (かなり論理的な内容も必要です)
・英語の本をたくさん読んでいること。 (カナダの中学・小学校では実にたくさんの本を読み、それをクリティカル・シンキングで分析します。 その後もっと高いレベルの高校に上がるシステムです。 本を読めない留学生は授業についていけません。)
2.日本からの留学生が、カナダで高校卒業し、大学進学(カナダでも日本でも)に必要なレベルの単位を取るためには、非常に大きな問題が存在します。
English のコースです。
何年時に留学を開始したとしても、English 10, 11, 12は卒業には必修です。
クリティカル・シンキング能力、エッセイ能力、正確な文法運用能力がないと、English 10に入るのも不可能です。
それまでは、ESL(外国人のための英語コース)に留め置かれ、普通English10に上がるまでに1〜2年かかります。
日本の高校の単位が少々移行出来たとしても、ここが問題で、卒業までに4〜5年かかるのがほとんどのケースです。
日本の高校2年時に留学しても、そこから4〜5年です。
過去に相談を受けた多くのケースも、1年経ってもまだEnglish10に上がれない!という「こんなはずではなかった」というのがほとんどです。
上記説明した能力なしでは、何歳になったとしてもEnglish10には入れないのが厳しい現実です。
その後に続くEnglish11, 12はもっと難関です。
私が送った高校生たち、日本でかなり準備をした日本のトップクラスの高校生達でも、パスするにはかなりの時間をかけたアカデミックサポートが必要でした。
また、English12の最終試験は州が行いますので、それに合格してC-でも合格出来ると「万歳!」レベルという難しさです。
もうひとつ気をつけたいのは、各高校が提供するEnglishクラスのレベルです。
大学に行く生徒用の高いレベルと、大学進学しない生徒用の低いレベル(それでも日本人には非常に難しいですが)ふたつがあります。
留学生は一般的に非常に英語能力が低いので、大学進学用のEnglishをとらせてもらえるかどうかは、完全にカナダの学校側の判断となります。
低いレベルのEnglish12の単位では、カナダやアメリカの大学進学は出来ません。 高いレベルのEnglish12を取り直す必要がありますが、また年数がかかります。
帰国生入試を行う日本の大学も、English12以外は受け付けていない所がほとんどです(いい大学は全部そうです)。
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以上が真実からのアドバイスとなります。
高校2年時からの留学はお勧め出来ないのが現実ですが、それでも無理に遂行なさる場合は、今から9月までにかなりの努力をし準備することを強く提案致します。
現在留学中の日本人高校生からのアカデミックSOSも受けておりますが、準備なしの惨憺たる状況は見るに耐えません。
留学の事前準備は、カナダからオンラインで提供しておりますので、ご希望の場合はお知らせ下さい。
現在English10への能力がどのくらいあるかの判断も出来ますので、より具体的なアドバイスが可能です。
「騙された覚悟」での「留学」でも、現地でせめて「なぜ自分は正式のEnglishに入れてもらえないのか」の理由を知ることは非常に大切です。
そうでないと「迷子」のまま傷心帰国することになってしまいます。
楽しいはずの高校時代を失う結果となってしまいます。
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