大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「カナダの大学入学方法」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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大澤 眞知子

オオサワ マチコ
( カナダ留学・クリティカルシンキング専門家 )
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カナダの大学入学方法

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留学 大学・高校正規留学 2018-02-03 06:06

このコラムは2018年に公開したものです。その後パンデミックによりカナダの大学留学生受け入れ、大学教育自体もずいぶん変化がありました。 それについての新しい情報を入れたeBook を公開中です。 参考になれば幸いです。

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1. カナダの大学入学には入試はありません。

日本のような国が定めた試験もなく、アメリカのようなSATもありません。

へぇ〜〜いいなぁ〜という日本人高校生のため息が聞こえて来そうです。


が。

入学希望者の選抜は、それぞれ個々の大学が独自に定めている入学基準によって行われます。

最も重視されるのは、高校の成績、特にEnglish, Social Science, Science, Math などの主要科目です。

Aが必要なのか、B⁺でもいいのかなどは、各大学の基準により異なります。


大学進学希望者は、単なる高校卒業資格の単位より、更に高いレベルのコースを数多く取っておく必要があります。

特にEnglish 12という高校で一番高いレベルのEnglish は必修で、良い成績も必要です。

また大学で何を学びたいかにより、Math, Science, Social Science12の単位が入学に必要となることが多いです。


気をつけたいのは、カナダの高校卒業資格は大学進学に必要な単位を取らなくても可能だと言うことです。

BC州では、English12は非常に難しいので、単に高卒資格だけでいい生徒はCommunication12などの簡単な単位で卒業資格だけを取ります。

アルバータ州では、English 12が3つのレベルに分けられており、English 30-1という最高レベルの単位を取った生徒のみ大学進学が可能です。

その下のEnglish30-2, 30-4などでは大学には入れません。


面白い制度ですね。

天然資源の豊富なカナダでは、大学教育を必要としない技術系の仕事がたくさんあります。

ですから、もともと学習能力の低い子供は、高校卒業だけを目的とし、勉強には興味を示しません。

勉強に興味のない子供のお尻を叩いて塾にやったり、無理やり中身のない大学に入れたりする親もまず存在しません。

そのような生徒がせめて高校だけは卒業出来るようにと作られた制度だと思います。


(日本からの留学生が陥る罠がここです。English12やEnglish30-1のレベルは日本人には大きな挑戦です。相当高いレベルのクリティカル・シンキングが必要だからです。しかし、これを取って卒業しないと(もし卒業出来ればの話ですが)日本の大学の帰国子女枠にも適応されませんので要注意です。データは公表されていませんが、大学進学資格を持ちカナダの高校を卒業する日本人高校生は留学生全体の5%にも満たないと推察しています。)


大学入学を希望するカナダの高校生は、希望大学に直接個人で出願します。

前もって意中の大学の入学基準をよく調べ、余分に取るべき12年生のコースは何なのかを知っておく必要があります。

個人の選択の自由が認められている分、自分のやることにはすべて自分で責任を持てということですね。


大学進学資格を持ち、無事にカナダの大学を卒業した日本人生徒には、もうひとつ関門があります。

英語能力です。

TOEFLやIELTSの高いスコアが必要な大学もありますし、州が独自に行う英語能力試験への合格を求める大学もあります。

3〜5年カナダの高校にいたからと言って、必ずしも大学レベルの英語能力があるとは限りません。

これも厳しい現実です。

 


2. 優れた能力を持つカナダの高校生には、学校の通常のコースの他にふたつ選択肢があります。


IB diploma(International Baccalaureate)AP (Advanced Placement)です。


APとは、ある分野に優れた能力を持つ高校生が、大学レベルのコースを履修出来るプログラムです。

例えばEnglishに優れた生徒が、大学レベルののCreative Writingなど を履修出来ます。

コースの終わりには州が定めた試験があり、それに合格すれば大学の単位が認められます。

つまり、大学卒業に必要な単位も先取りが出来ますし、大学入学判定にも有利に働くことが多いです。


ただし、非常に深い内容で、生徒には迅速な思考能力と大学レベルのクリティカル・シンキングが要求されます。

カナダの大学の授業では、迅速に思考し、分析し、それを表現する能力が必須ですので、その能力を試すコースがAPとも言えます。

元々の高い能力と、相当の努力が求められますので、高望みをしてAPに入った生徒はその内容に圧倒され脱落してしまう可能性が高いです。


IBはある特定の国に限らない、世界的教育のプログラムです。


高いレベルのクリティカル・シンキングを使い、総合的な思考能力を育てます。

もちろん、カナダの大学ではこの能力は必須ですので、大学準備としては最適だと考えます。

APは単一科目を勉強するのに対し、IBはすべての分野を網羅する総合プログラムです。

元々の能力はもちろん、日々の猛勉強と鍛錬された学習態度が必要とされます。


大学の入学判定にはもちろん有利に働くことが多いです。


AP, IBをカナダの大学がどう扱うのかは、全く個々の大学の方針によります。

IBを持っているから絶対有利とは言えないのがカナダの面白い所ですね。

IBがあるからと言って、入学が保証されるわけでなありませんので、希望大学のウェブサイトで細かい基準を入念に調べることが必要です。


さすが「個人の自由」を誇りにするカナダ。

IBだぞ〜〜と威張っても余り効き目はないようです。



これがカナダの大学入学方法です。

入試がない!と喜ぶほど簡単ではありませんね。

もちろん、日本からカナダの大学進学を希望する人にも全く同じ基準が適用されます。

高校での成績は5段階評価の4.5以上は必要です(学校格差も評価対象ですので要注意)。

それプラス英語の高い能力の証拠をTOEFL, IELTSなどで提出することも必須です。

外国からの入学希望者が多い時には、成績も4.5以上でも足りないです。

TOEFLなども最低ラインをクリアしたくらいでは入学を許可されないケースも多々あります。


Bad news!

トランプアメリカを嫌悪し、世界中からカナダの大学に優秀な生徒が殺到中です。

アメリカからも続々学生がカナダに流れ込んでいます。

現在生徒を送り込んでいるカナダの大学から、数日前にメールが来ました。

「入学希望者殺到につき、夏学期はすでに締め切りました。」だそうです。


カナダますます独自に進化しそうです。

 

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