大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
海外の大学で野生動物保護を学びたい
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「カナダの大学を卒業し、カナダで働きたい! お勧めの大学を教えて下さい!」
と、何がしたいのか、何が出来るのかも自分で理解しないままの質問が多い中、珍しく具体的な相談にお答えしました。
「将来海外で野生動物保護の分野で働きたいです。海外の大学に直接進学すべきか、まず日本の大学に行ってから短期留学すべきか迷っています。 学校の先生に相談したら『留学すると視野が狭くなるので短期でいいのでは』と言われました。海外の大学に進学した場合、動物保護の仕事をする専門分野を卒業するのにどのくらい費用がかかりますか?」
具体的は素晴らしいのですが、学校の先生のコメントに唖然とし、下記のように回答致しました。
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人間と野生動物の共存を大切にする国、カナダからのアドバイスです。
現在住んでいるAlberta州大平原ど真ん中の家の周りには、鹿、ムース、うさぎ、コヨーテ、ふくろう、鷹、鷲、その他多くの鳥たちがいます。
キッチンの前にあるデッキのすぐ1メートルのところに大きなムースがよく遊びに来ますよ。
夜はコヨーテが遠吠えします。
地球に住む仲間として共存していくことは非常に大切だと日々感じていますので、将来への素敵な希望をお持ちだと思い丁寧に回答させていただきます。
普通、海外の大学へ留学したいというお問い合わせには、いかに難しい選択肢であるかの説明をから始めます。
しかし、ご相談者の場合、外国の大学に進学する目的も、将来の目的も明確なようですのでそれは今回は割愛致します。
また、国についても28年間日本からカナダ大学への進学をお手伝いして来た経験から、カナダに例をとって説明してみます。
1. 日本の大学を卒業した方がカナダで仕事をするのは簡単ではありません。
理由は:
a. 特に希望されている分野(野生動物監督・保護など)は、政府が管轄している団体が多いこともあり、カナダ国籍、またはカナダ移民権を保持していないと、雇用される確率は非常に低いです。
b. カナダの団体・企業が外国人を雇用することも非常に稀です。 移民で成り立つ多民族国家カナダでは、わざわざ外国人を採用する必要もありません。 日本の知識・情報・言語が必要な仕事でも、移民の日本人、日系カナダ人がたくさんいますから。
c. 言語も問題です。 日本の大学を卒業しても英語レベルは、カナダで仕事をするところにははるかに及びません。
2.将来どうしても、海外で働きたい希望であれば、最初からその国の大学を目指すことをおすすめします。
(困難さもよく理解しておいて下さい。詳細は専門家Profileのコラムに書いていますのでぜひ読んで見て下さい。)
就職に関しても、仮にカナダの大学を卒業した場合、まずPost Graduate Visa が出ますのでそれを使い仕事の経験を積むことが可能です。 (すぐに希望の職種につくのはおそらく不可能です。)
その後、移民権を取得すれば、あとはカナダ人と同等の立場になりますが、簡単ではありません。
(視野について)日本で18年生活し教育を受け、その後外国で生活し教育を受けるのと、どちらの視野が広がるかは明白ではないですか?
日本の学校の先生たちは、このような内向きな(視野の狭い)コメントをすることが多いですね。
困ったもんです。
3.進学への費用は一般的なものはありません。
どの地域のどの大学に進学するかで、学費も年間200万〜800万と大きな差があります。
生活費も大きく異なります。
また、日本の高校を卒業後、すぐにカナダの大学に入学は出来る能力を持った人は約5%未満程度だと思います。
英語のレベル、クリティカル・シンキングのレベルがカナダの優秀な18歳と同等になるまでは、ESL(外国人のための英語コース)などで準備します。
その間も授業料がかなりかかりますし、生活費も必要です。
日本の大学にいったん入学し、海外の大学に留学、卒業をめざす場合も難しさは同じです。
日本の大学の費用分が余計にかかるだけになる計算になるだけですよね。
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最後に余談ですが、カナダの実例です。 日本から留学した人でないのが残念ですが。
私のカナダ人パートナーの高校時代の同級生の話。
University of Alberta に進学し、動物について学んだ後、政府機関で20年程仕事。
その後起業したのが、熊を守る会社です。
Alberta北部は石油の宝庫です。
北の果の寒いところですが、もちろん野生動物も多く生息します。
石油基地に熊が出現し、殺すしかないと困っている様子を見、殺さずにうまく熊を他に誘導する方法を考え、その後会社にしました。
一度お会いしましたが、熊みたいなでっかい身体のやさしい方でした。
うまく夢が叶うといいですね。
現実をよく見据えて進んで下さい。
Good luck!
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